第2話 ハローワーク

トラックと衝突して死んだ俺は気が付けば異世界に降り立っていた。



テレビでしか見たことがないような中世の街並み。

街を行きかう見たこともない種族の人々


俺の興奮は最高潮に達していた。


今まで住んでいた世界では評価されなかった俺だが、ここではまた違った結果が待っているはずだ。


俺は希望を胸にハロワに向かうことにした。

道行く人にハロワの場所を尋ねる。


だがしかし、ここは中世。


ハロワの場所を知っている人物など誰も知らない。

何故だ。この世界の住人は自分の住んでいる町のことすら知らないのか?


wikiには、

公共職業安定所(こうきょうしょくぎょうあんていじょ)とは、職業安定組織の構成に関する条約(国際労働機関条約第88号)(日本:1954年批准、昭和29年条約第19号)[1]に基づき加盟国に設置される公的職業安定組織(英:Public employment service)が運営する職業紹介所である。日本においては、厚生労働省設置法第23条に基づき設置される公共職業安定所(ハローワーク、英語:Public Employment Security Office)が該当する(本項解説)。「国民に安定した雇用機会を確保すること」を目的として国(厚生労働省)が設置する行政機関。


日本でハロワができたのが1900年後半。

ヨーロッパのほうでもそんなに大きく変わらないだろう。

とどのつまり、我々が良く言う中世ヨーロッパ、つまり500~1500ほどの間の世界にはハロワ、またはそれに該当するものは到底存在しないものである。


なんてことだ。


未開な地であれば俺の就職も上手くいくと思ったが、そもそもハロワが無いなんて想定外だ。


しかしだ、就職をする時、全てがハロワを通して行われるものではない。


実際に俺がこの前行ってきた就活では、インターネットを通じたものであったり、大学を通じたものであったりと様々なものがあった。


この世界においても同様にいくつかの手段に分かれて就職が行われているのだろう。


人類が存在する限り就職活動は存在する。

これは世界が変わろうと変化しない心理であり、俺はこの世界の就活の勝者になりうる人材であることは間違いない。


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就職先が見つからなかった俺は異世界に就職することにした selius @selius

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