就職先が見つからなかった俺は異世界に就職することにした
selius
第1話 プロローグ
給料というのはその人物の相対的価値によってほとんど決まるらしい。
つまり大企業に勤めているという事はそいつは相対的価値とやらが平均よりも高いという事になる。
逆に中小企業に勤めてるやつらは相対的価値が低いという事なのだろう。
そんな尺度で測ると俺は相対的価値が絶望的に低いという事になる。
就活が始まってかなり時間が経ったが、俺の所へ来た採用通知は今のところゼロ。
つまりミジンコ以下という事だ。
現実というのは理不尽極まりない。
その相対的価値とやらはどうやったら上がるのだろうか?
なにか資格でも取っておけば良かったのだろうか。
それともボランティア活動でもしろと? 馬鹿らしい。
そもそも尺度が抽象的すぎてどうやって上げたらいいのかが良く分からない。
きっと誰もよく分かっていないに違いない。
しかし、俺は相対的価値を上昇させる画期的なアイデアを思いついてしまった。
相対的価値というのは名前の通り、周囲との価値の差によって生まれるはずだ。
では、周りのレベルが低ければどうなるだろうか?
俺の相対的価値は上昇するに違いない。
相対的価値が具体的に何かは分からないが、とりあえず周りのレベルが俺よりも低かったらいいわけだ。
その事に気が付いた俺は2tトラックに突っ込むことにした。
俺の目指す先は未発達の異世界。
まだ産業革命も起こっていない未開な地では俺の相対的価値は高いはずだ。
その時の俺はこれから始まる日々に無限の可能性を感じていた。
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