第3話騙された!気づいた!僕らの決意!
指の先を見ると冬美が悲しそうな顔をしていた。
僕は冬美と今日と昨日の2回しか会ってない。
それでも、わかった。冬美の悲しそうな表情が。
チャラい男は言った。
チャラい男「自分のわがまま貫いて、バンドメンバー置き去りにした練習してたお前がまだ諦めず
軽音部に入ろうとしているとか腹が千切れるほど面白いわ。悪いことはいわねぇ、さっさと失せろ、ゴミ」
流石に言い過ぎだ。僕は周りの人に落ちた天才だとか
書けなくなった天才とか言われてたからわかる。
自分がダメだってのは自分が一番わかる。
だから、僕は逃げた。音楽をやめたんだ。
でま、冬美は逃げてない。逃げた僕を引き止めようとしている。まだ冬美は諦めてないんだ。そんな子にこの言い方をするなんてこいつ多分クズだ。
冬美「う、うるさい。私には私なりの信念があって
やったことなの!あんたにどうこう言われる筋合いはないの!」
冬美は言い返した。
部長らしき人「はい!そこで辞めて!君名前は?」
チャラ男「斎藤 明人 (さいとう あきひと)だ
楽器はギターやってる。そこのゴミとは違ってバンドメンバーもいるぜ、あはははは」
部長らしき人「そかそか、あ、自己紹介忘れてたね。
私は部長の井上 真央 (いのうえ まお)
部長やってて斎藤くんと同じギターだよ。
斎藤くん君はすごいね。もうバンドメンバーがいるんだ。そりゃそうだね。中学の頃狂犬って言われてたくらい、暴れるようにギターを弾く子だもんね。不思議じゃない。軽音部は君の入部を心待ちにしてたよ。」
明人「そりゃそうだろ!なんなら俺のバンドメンバーに入れてやってもいーぜ。部長の姉ちゃん!がははは」
真央「でも、今のを見て気が変わりました。
部長の権限で私たち軽音部はあなたの入部を拒否します。」
明人「あ?どうしてだよ!俺のどこがダメなんだ!
あんたなめとんのか!ぶっ飛ばすぞ。」
真央「そういうところだよ。いいかい?斎藤くん
音楽は人を楽しませる道具だ。わかる?道具なの。
道具ってのは使う人によって良くも悪くもなる。
私は1人のギタリストとして、音楽を悪く扱うようなあなたにギターを弾いて欲しくない。だから入部拒否する。その点そこの冬美ちゃんは人を楽しませることに一生懸命だ。そして折れない信念をもっている。
君がゴミと罵った彼女は私にはどんな宝石にも負けないダイヤのように見える。」
明人「クソっ、じゃあわかった。1ヶ月後俺のバンドとそいつで、生徒の前で演奏をする。そして聞いた生徒に投票させる。もし俺らが勝ったら、俺が部長をやって、軽音部を変えてやる!曲はオリジナル曲で勝負だ!」
冬美「何を言ってるのよ!私にはメンバーもいない!
1ヶ月後ライブなんて無理よ!しかもオリジナル曲なんて不可能だわ!」
明人「じゃあ諦めて帰るんだな!そして軽音部は俺のもんだ!がははは」
真央「いいでしょう」
冬美「え?」
真央「私が冬美ちゃんのバンドにギターとして入ります。それであなたたちよりいい演奏をしてあげますよ。」
冬美「部長、お気持ちは嬉しいですがオリジナル曲だといくらあなたでも書いてやるのは無理です!」
真央「何を言ってるの?冬美。私はやるだけよ。
書く人ならいるじゃない。そこに」
真央部長が指を指したのは、他の誰でもなく俺だった。
優作「えー!!!!!」
「ちょっと待ってください。僕はそもそも部活に入部するつもりもなく、冬美に騙されてきただけですし。
僕に歌詞を書くなんて才能ないですよ!」
真央「おー良くいうねー。嘘はよくないよ。音楽の天才くん。」
周りの人達「え?あの音楽の天才?」
「今は落ちたって有名だよね」「そうそう落ちた天だっけね。クスクス」
あー始まったよ。僕の高校生活終わりだ。バレてしまったんだ。こんなことなら来なきゃよかった。
真央「今は落ちたって言われてるけど、私はそうじゃないと思うんだよねー。だから、私たちに協力してよ」
はぁ、簡単にいうよ。僕がどれほど苦しんだか。
どれほど落ち込んだのかわかってない。
優作「簡単に言わないでください!
そんな簡単にできるなら僕は落ちた天才なんて言われてない。僕にはもう書く才能はなくなったんだ!」
真央「じゃあ質問ね。優作くんは自分ができないって決めつけてから、一回でも歌詞を書いた?」
優作「え?」
何を言ってるんだ?そりゃ書いたに…書いてない!
僕は落ちたって言われてから書くことを諦めた、逃げたんだ。僕は何もせず逃げた。こんなことに気づけないなんてバカみたいだ。あはは、そうかそういうことなんだ!わかりましたよ!真央部長!
優作「書いてないです。」
僕はそう言ってニッコリ笑った。
真央「気づいたみたいだね。その笑顔が何よりの証拠だろうね!君は逃げて逃げて逃げまくってたから、気づかなかったんだよ。一回も書いてないことにね!
今なら書けるんじゃないかな?失敗も弱さも人の心の脆さも知った君なら書けるはずだよ。」
その言葉に僕は深く頷いた。
あー来てよかったのかもしれない。
冬美にはほんとに感謝してもしきれない。
優作「冬美!やろう!冬美の過去がどうだったのかはわかんない。けどさ僕らは一回音楽に見放されたはずだよ!それでも冬美は諦めず逃げずに続けた。そのおかげで僕は気づけなかったことに気づけた。
だからさ、一緒に見返そうよ。僕を落ちた天才って言ったやつを、冬美をゴミだって言ったそいつを!」
俺はそう言って冬美には手を出した。
冬美は少し戸惑って僕の手をとり
冬美「やるからには私についてきてね!変な歌詞とか書いて負けるとかありえないんだからね!」
優作「がんばるよ!」
そうして僕と冬美と真央部長の3人の寄せ集めだけど負ける気がしないバンドが結成された。
音楽は僕らを見放した 山田優作 @hiroto1205
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