双子の特別な人になってしまった

@Siguna

第1話 混院生

春の光でキラキラと照らされている校舎、中庭にこれでもかというくらい植えられた桜、なんだか分からないオブジェ。

ここは私立宝条高等学校。お嬢様、お坊ちゃまが通うような、お金持ち学校。この学校は幼等部からありこの学校の9割が、お金持ちだ。あとの1割は特待枠として入った普通の人通称 混院生エスカレーター式で上がってきたお金持ちの人達にはとても珍しいのだ。

「はぁ。居ずらい…。」

ぼそっと呟いてしまった。廊下の脇では、上品に笑う女の子達、校庭では男の子達が、額に汗を浮かべながら楽しそうにサッカーをしていた。特待枠で入れたものの、住む世界が違いすぎて緊張してしまう。鞄を背負い直して、靴を履く。今日は新しくバイトの面接にでも行こうかな?そんなことを考えながら歩いていると背中をぐっと押された。多分誰かがぶつかってしまったのだろう。後ろから男の子の「あっ!」という声が聞こえる。今はそんなことはいいや。早く体制を立て直さないと、足にグッと力を入れようとすると誰かに手首を掴まれた。助かった!と思った瞬間背中にその人がびっくりした表情とともに倒れてきた。あ、これやばい…。きずいた時にはその人と2人で噴水にざっぱーん!という音と共に入ってしまった。

「冷た…。」ふるふると首を振ってから横を見てみると男の人が「ちべたー!制服気持ち悪いよ〜。」ギューッと袖の部分を絞りながら困った顔をしていた。その人と目が合った。背中に冷たいはずなのに汗が流れた。だってこの人は…。一緒に噴水に入った人はこの学校でも1、2を争うほどのお金持ちで同じクラスの大月 渉さんだったから。

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