最終話れいんあふたーざれにー(後編)
「ちょっと荒療治だったけど、昨日よりは少しはマシになったでしょ?」
にししとエリカさんは笑った
楽になった、、かは分からないけれど
昨日とは精神状態が違った
「これでこなちゃんの中では、花音ちゃんだけが中心の人生じゃなくなったね」
そう言われると、それはわかる気がした
「あんまり、いい事ってわけでもないし、皆が皆してるわけじゃないけど、こうやって、いっぱいいっぱいの自分に、体験したことないことすれば、少しは変わるよ」
諭すように、微笑みながらえりかさんは髪を撫でた
「あ、でもこんなことそうそうしちゃダメだかんねっ」
言われなくても、するってより出来ないですよ
内心苦笑いした
でも少し楽になった
実際昨日より心の中は穏やかだった
支度をしてホテルを出る
小雨が降っていた
「じゃああたし駅こっちだから」
そう言ってエリカさんは人並みに向かっていった
「お互いリセットして頑張ろねっ、お姉さんがフリーだったら、もしまたこなちゃんが死にそうになってたら、また少し大人になる為のこと教えてあげるからさっ」
悪戯っぽく笑いその言葉を投げかけ
エリカさんは手を振って駅に呑み込まれ行った
僕は夕間の店へ向かった
オープン前
ドアを開くと夕間はいた
「お、昨日よりかなりマシじゃん。良かったな」
カウンターに座るとお赤飯とお味噌汁が出てきた
「なんでだよ」
「めでたい事だろ」
美味そうにタバコに火をつけニヤリと笑う夕間
「少しは、花音ちゃんの事整理つきそうだな」
ま、そうやって大人になってくんだ
ご機嫌そうに付け足した
「ずるずる引きずって大学生活つまんなくすんなよ。かといってこんな事ばっかすんなよ」
「しないよ!」
時間差で恥ずかしさが込み上げた
「これは、あくまで花音で世界がいっぱいいっぱいのお前が、こらからもそーならないようにって事だからな」
「ありがと」
少しぶっきらぼーかもしれなかったけど
夕間は笑顔で聞いてくれた
ご飯を食べ終わると
さて、今日は帰れよー
何日も引っぱり回してると叔母さんに怒られちまう
肩をすくめて笑う夕間
「うん、帰るよ。ありがとう」
照れくさいけど、僕は心の底から言った
「色んな考え持って、広く見ろよ」
お店を出る僕に夕間は言った
小雨が降っている
雨のち
雨
でも僕の心は昨日より晴れやかだった
(おしまい)
れいんあふたーざれいにー みなみくん @minamikun
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます