第2話 完結
問題の電車に乗る事がなくなり、怖い思いをすることもなくなったと安心していた。
日々を過ごしていく内に、あの男が誰なのか、なんだったのか忘れていった。
そんなある日、私は高校2年生になった。
友達と遊ぶために自転車に乗り友達の家へと向かいました。
その道中に線路を通り抜けるため、地下に下がる地下通路がある。
手前は下り坂で奥に進むにつれて上り坂になった半円の様な形をした通路だ。
この坂は昔から大好きで、小学生のころから滑走するのが楽しくて仕方がなかった。
しかし、中央付近は真昼間でも薄暗く、街頭は古いため明りの役目をはたしていないのだ。
「さぁ坂だ!懐かしいなー」と地下通路に入ったときに、いつもの感覚と違う感じがしたのを覚えている。
目の前に人影が見えた。
そう、あの男だった。
私はすぐに気づき、あの恐ろしかった思い出がよみがえった。
私は「何も見えてない。何も見えてない。」と頭の中でつぶやき男を見ないようにまっすぐ前を向いて走り抜けた。
それでも視界の右端に男をとらえていた。
やはり顔が崩れ、その場に立ち尽くしていた。
通り抜ける一瞬のはずが、とても長い時間、通路を走っていたように思えた。
男はこちらを見ていた。
ずっとこちらを見ている。
そして、男の真横を通り過ぎたとき・・・
「みーつけた。」
確かにそう聞こえた。
私はつい、振り向いてしまった。
男はやはりこちらを見ていた。
おかしい、通り過ぎればあの男の後ろ姿が見えるはず。
あの一瞬で振り向いたのか。
とっさに前を向き、私は思い切りペダルをこいで通路を抜け、
振り向くことはなく走り続けた。
ついに友達の家に着くころまで振り向くことができなかった。
ボクは今すぐにでも友達に会って、今起きたことを話したかった。
本当に恐怖だった。
「みーつけた。」
あの言葉を思い出し、私は友達の家には寄らず、猛スピードで家の前を通り過ぎ、
自宅に帰ることも怖くなり。帰れず。
よくわからない、あまり知らない土地まで走り、コンビニに常設されている公衆電話から家に電話をかけすべてを話した。
私は結局、母親の声を聴いて安心したのかその場から動けなくなり。
父親が迎えに来るまで公衆電話の前で座りつくしていた。
【おわりに】
今現在になっても、あの男に出会うことはありません。
あの時の体験はいったい何だったのか。
あの男の正体はいったい何だったのか。
真実は未だに闇の中です。
あまりにも突拍子もない話なので、作り話と言われても仕方がありません。
でも、これは本当にあったことなのです。
みなさんも、顔の崩れた男に逢った時は・・・お気を付けください。
顔の崩れた男 ぽん @ponT-how
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
近況ノート
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます