設定とか
描き切れなかった部分や設定などがプロットに溜まっているので整理の為に。
表記について。
台詞の「」内を句点で終えるのは、その有無でニュアンスが変わる為。漫画の吹き出しなどでも、句点で終える響きの方が個人的には。
主人公の一人称視点なので、漢字の表記なども主観的。無駄なリアリティ。
また、彼が
各章について。
一、誰そ彼の路。
タイトルは
しかし祖父の方言はよく分からない。一応舞台の土地は〝九州と四国の間にもう一県あったなら〟というイメージなので、色々混ざってる感じ。時間軸は平成初期。
祖父は今まで会った色んなお爺ちゃん達をミックスして出来上がった人格。
夕食の折り、主人公が「妙に甘ったるい醤油」と形容しているのが九州人としては許せない。
祖父の世代的にジョン・レノンは馴染みがある筈なので、きっと週末にテレビ放送される洋画でジャン・レノの名前を覚えて取り違えたのだろう。
夕食後に主人公の過去を全て吐き出させるつもりだったけれど、あまりにテンポが悪いというか初っ端から重いので割愛。またどこかで。
お相撲のパートは未だに悩む。ここ要る? ちなみに琴欧州のブログはマジで可愛い。
柚季はもっと可愛い。ちなみに祖父と話す時だけ
〝水泳が得意で真っ黒に日焼けしているショートヘアの子〟という設定は親戚の女の子たちがモデル。
二、彼は誰と名。
タイトルは前章〝誰そ彼〟との対比。〝彼は誰時〟は主に明け方を指す。及び自己紹介の多さとも掛かる。
転校初日。虚無パート。自分が経験した事をそのまま書き連ねているのでリアルだとは思うけれど、読んでて全く面白くない上に痛々しい。
というか全編通して殆ど体験談なので生々しくは描けている気がする。悪い意味で。正確には主人公の出自と裕福な幼少期、そして中学で美術部に入れた部分だけ真っ赤な創作。
三、片割れの頁。
タイトルは前章の響きから。および今井繭浬のスケッチブックで、反対の頁にも絵具が移っているというイメージも。後に彼女への賛辞で「隻羽の蝶」という例えが出るが、その辺りも掛かっている。絶対に誰も気づかない。要は今井繭浬の気配が表れる章。
美術部三人娘が揃う。モブのつもりだったのに以降ずっと出て来る。ずっと喋る。ちなみに担任の先生と米塚部長と豊水さんは、私が好きな
入部直後に振る舞われた珈琲の件が妙に詳しく言及してあるけれど、彼はインスタントコーヒーを飲んだ事が無かっただけ。生意気。
美術部に入れた安堵で不味いものを不味いと感じ取れたという描写のつもりだったけれど、運動部に放り込まれるのを回避して調子こいてるように見える。あるいは単に舌が肥えて食い意地が張ってる子にも見える。JC三人が淹れてくれたんだからぐだぐだ言わず今すぐ飲み干せと思う。
美術室の造りは地元の中学校がモデル。音楽室と正反対の角部屋で見晴らしが良かった。山と畑と校庭しか見えなかったけれど。調べてみると割と変則的な構造だったらしく、一般的な美術室は普通の教室と同じ造りである場合が多いらしい。知らなかった。
実体験として、男子が美術部に入るという選択肢は無かった。
美術室のピアノに関しては、色んな廃校を訪れた際、意表を突いた場所にピアノが置いてある事が多かったので。演出の要を担ってくれているように思う。
米塚部長が凄い話を進めてくれてる。有難い。加島さんだけ「舘原くん」呼びなのは、自己紹介で漢字の表記を目にした為。転校生の名前を黒板に書く定番のアレ。
個人的には、加島さんが海へ向かう坂の途中で振り返って笑ってくれるシーンが好き。優しい子。その後主人公は柚季へのデコピンでリンチにされる。羨ましい子。
結びは子供の頃の記憶。海から帰る時に振り返ると、名残惜しい筈なのに急に海が余所余所しく見えるような…あれだけ楽しく遊んだ海が、少し怖ろしく見えてしまうような感覚の描写。共感して頂けるものかどうか。
四、帰らじの鍵。
タイトルは美術室の鍵も勿論だけれど、母のピアノを弾く主人公の指遣いとも掛かる。そんな事より素足にローファーって好いですね。ポケットに突っ込まれた靴下の膨らみとか。
柚季にあげたタオルが明らかにリラッ○マで笑う。
ちなみに帰宅後、ピアノをママゴト呼ばわりされた直後の「はい?」は、ちゃんとブチギレる寸前。でも祖父は気づいてなさそう。あの二人どんな喧嘩をするのだろう。
翌朝の玄関で寝転ぶ柚季が可愛い。板間が冷たくて気持ちいいのだろう可愛い。
軽く朝食を共にするけれど、本当は柚季が梅干しの種を噛み割って中身を食べてしまう描写があった。実際に兄が昔そうしていた事を思い出し、彼女の健康さをアピール出来ると思ったのだけれど、調べてみると中毒症状を起こす行為らしいので割愛。兄さん大丈夫? 「梅干しはな、種の中身が旨いんだよ!」とか言ってたけど。色々大丈夫?
後注が無い唯一の章だけれど、今井繭浬へシームレスに繋げたかったのだと思う。
ちなみにここまでが十代の頃に書いた内容。懐かしい。
五、偶さかの瀬。
タイトルは運命の契機と、ピアノを弾く事に「水辺へ手を伸ばす」というイメージを個人的に持っている為。
冒頭の今井繭浬との邂逅は二十代の頃に書いて放置していたもの。つまり以降は三十代の今に書き足している。野暮。とはいえヒロインの登場回なので最熱。寧ろここからが本編という勢い。
しかしこの章の
六、刻列ねの座。
タイトルは終盤の廃墟群から。時間と経緯、佇み続ける弾薬庫の並びとトーチカ、そしてその場所で独り過ごす柚季のイメージ。
冒頭の図書委員は当初女子生徒で、同行してくれた加島さんと友人という予定だった。彼女の顔の広さと便宜を図ってくれる様子を描写したかったのだけれど、あまりに男子生徒が出て来ないので
米塚部長には弟がいるらしい。羨ましい代われ。そして机の上での姿態。私いつか机になりたい。彼女は幼い頃から水泳を続けていた為、素肌を晒す事に抵抗が少ないのかも。
米塚部長が急に
半ドンは今時の人に伝わるのだろうか。個人的には印象深い雰囲気だったのだけれど。そして部員たち、すごい気ぃ遣い。主人公は効率よく今井繭浬を描く事しか考えていないので気の毒。
美術準備室で米塚部長の脚を〝弾性〟と形容しているが、これは対義語の〝塑性〟を、つまり粘土を意識しての描写。誰が気づくのか。
通して米塚部長のピックアップ回。対して主人公の無能ムーブが光る。
ちなみに前章の
その要因は米塚部長の脚か、くだけ始めた柚季の可憐さだろうか。個人的には廃墟の描写であって欲しい。しかし加島さんの「あんねぇ」も好き。方言らしい。「美術部関連だと無敵」も何気に核心。
戦争遺跡のモデルは佐世保要塞の堡塁跡。佐世保バーガーおいしい。および豊予要塞の鶴御崎砲台跡。鶏天おいしい。そして壱岐要塞の生月島砲台跡。刺身定食おいしい。
ちなみに廃墟で宿題をする女の子も実在。しつこいけれど創作部分は少ない。
七、産土と結び。
タイトルは土曜・粘土・土俗の土。結びは縁と参拝。話数は一週間と掛けて。
ずっと食べ物の話してるので「風土と結び」にしようかと迷った。Foodと掛けて。遊び過ぎなので却下し、より渋い方を選択。ただこれはこれでサンドウィッチとおにぎりのようにも見える。
おにぎりで喜ぶ柚季が可愛い。主人公もお昼を楽しみにしているけど、自分で用意した昼食(しかも朝食と同じメニュー)を喜ぶ純粋さは今の私には無い。
柚季が彼の憶測通りお姉さん振っているのだとしたらいよいよ可愛い。親御さんは共働きなんだろうか。
食事中の米塚部長が軽く壊れているけれど、この年齢で常に場の全体を見渡している反動か何かだと思う。家では弟とやらに甘えているのだろうか。許せぬ。
ここで今井繭浬を出す予定は無かったけれど、どうしても描写したくて強引に保健室から叩き起こした。案の定、閲覧数は減った。お寝坊してて可愛いのに…。
お陰で主人公は車に
主人公が人と並ばず、後ろを歩いてしまう心理は割と解る。
八、潮合いの道。
冒頭のピアノパートが全て。
とはいえ傷口を苛められる描写も書いていて愉しかった。直後に放された手だけれど、制服のリボンにしか触れずに落ちるのは不自然な気がする。しかし翌日部員たちが説明してくれた。ステータス。
仕返しに相手の椅子に座り返すという発想は何だか可愛い気が。
気づけば主人公は柚季に今井繭浬の事を訊き、柚季は主人公に米塚部長の事を訊くという構図が。えっと、計画通り。
しかし非常にハレンチな発言が目立つ回。必然性は見当たらないのでもっと削るべきかも知れない。その、女の子も、特に集まった時には結構色んな事言ってくるよねという描写だけれど…うーん。
ちなみに土曜日の夜、米塚部長は今井繭浬に「シュークリームちゃんと食べた? あとタチハラ部員にもう少し優しくしてあげな?」というメールを送っている。その返信は「大丈夫です」
美術部三人娘が〝ちさと〟以外、全くお互いを呼ぶ描写が無かったのは、早々に退場するモブの情報で本筋をブレさせたくなかった為。何とか最低限の遣り取りだけで乗り切ろうと思っていたけれど退場しそうにないし、「この学校は男女でも名前で呼び合っていて仲がいい」みたいな発言もさせて不自然だったので、寄せ書きで一挙に解決。ついでに海床路の表記も処理。
加島さんだけモデルが居ないので名前もヒントが無くて困った。かしゆかみたいに〝かし~〟と略するアダ名から逆算。〝かしこ〟とか可愛いじゃんと思って小梅にしたのに、何かウメ子とか呼ばれてるらしい。
ちなみに作品のモデル=付き合ってるみたいな事は現実でもよく言われる。そして実際そういう連中も多い上に付き合ってすらいなかったりする。私事ながら誰とも関わらなくなった理由。
しかし米塚部長の超人ムーブ凄い。あっちこっちで人を喜ばせたり瑪瑙を見つけたりしている。
タイトル的にも物語が一巡してリスタートという感覚なので、なるべく今までと同じ描写を意識したけれどほぼ米塚部長の千手観音ダイジェストになっている。合間にけしからん言動まで
海床路はそのまま、熊本県の長部田海床路がモデル。ネーブルソフト美味しい。ちょっと描写できているか怪しいので直す事になりそう。
主人公の一旦喋り出すと止まらないオタムーブじわる。すごい早口で声裏返りながら言ってそう。
しかし通して小ボケが多い気がする。ちょっとしつこいだろうか。
通して柚季が可愛い気がする。ヨシッ
九、水揺りの籠。
タイトルは水槽と、雨とケーブルカーと、学校と水曜日のイメージ。給食当番とか懐かし。
歩道橋でいつも通り「流木プレゼント部」と言いかけて止める柚季が切ない。二人だけの無防備な遣り取りだったのね。
主人公は女の子の胸元を見過ぎな気がする。そして全く官能的な関心では無い辺り純粋な変態。
廃水族館周辺のモデルは、ちょっと失敬な描写も多いので内緒で。まだ現役な部分も在るのにオール廃墟にしてしまっているので…駐車場のハンバーガー美味しいし野良猫も可愛いとだけ。
そもそも水族館って、随分と歪なギャラリーですよね。だって人間が延々歩いてくるんですよ気持ち悪。
廃墟内の描写は、今までで一番頑張った心算。愉しかった。
自傷に関しては、私自身は経験が無いけれど間近で見ていたので、その視点から描く次第。気分を害してしまったら御免なさい。
美術室での先生との会話は内容もしんどいし女の子も居ないしで疲れた。
体育教師って頭おかしい率高かったよねという偏見と、地元の高校で起きた、〝吹奏楽部が野球部を応援する為に自分達のコンクールを出場辞退させられた〟という事実に因る。野球に関わる人々は苦手。
勢良先生は私の中学時代の美術教師がモデル。本当にあんな感じの人だった。俳優の竹中直人さんと美大の同窓で友人らしい。
余談ながら、数年前SNSに申請が来たので懐かしくて投稿内容を見ると、割合ディープな政治思想をお持ちだったらしくて驚いた。在学中そんな気配は微塵も匂わせていなかったので、教育と私見とを分けられる人だったのだろう。益々好きになってしまった。
ちなみに〝火中の栗〟は、主人公が気配りの出来る優しい子のようにも映るけれど実際は「自分の為にそこまでしてくれる大人が居てくれたらいいな」という願望に因る。
本人の居ない所で米塚部長を掘り下げた。三話でも触れているけれど辛い内容。唐突な苺大福に救われる。
柚季の言う「帰りの会がめんどい日」はちょっと笑う。確かに何だったんだろうあれ。
終盤の珈琲責めは、話の流れ上どうしても挙動が要るし、おじさん全員が珈琲勧めてきたら主人公困るかなと思って。あと一杯くらい誰かに勧められて天丼して欲しかった。
祖父が珈琲を淹れる際に様子がおかしいのはちょっとした気負いに因るもの。私の祖父母はカレーを「ライスカレー」と呼んでいたのだけれど、それを声に出す折り、彼と同様に照れているというか気取っている様子で、それが印象深かった為の描写。誰が分かんのよ。
夕食は、パンを買い込んだ日の「明日まで無敵だぜ!」感と、夜に淹れる珈琲の背徳感を描きたかっただけ。ちょっと日常の描写が疎かだったし久々に祖父を出せたので満足。退廃と耽美を主軸に据えるなら、こういう点景も必要かしらと。
しかし珈琲二杯のカフェインなんて、何も感じない身体になっちゃったなあと思う。
トーチカにこっそり今井繭浬を連れて行き、それが柚季にバレるという流れを描くかどうか。あの子だけは泣いて欲しくない。
長編#03 蒔村 令佑 @makirike
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