極めて作者に優しい仕様の最終回
はい、いろいろあって準決勝はユタカ君が勝ちました。ぶいぶい!
いやぁー、まっっさかあんな方法でタカミチマンに勝つなんてなーー。
本当なら事細かく試合の様子を説明したい所なんだけどなー。でもほらー、この小説は出来る限り作者に優しい仕様で書かれてっからにゃーー。どうやら書くのめんどい病が発作ったらしいわ。カスかよ。本人は「小説書くの数年ぶりでここまで書いたんだから頑張った方じゃね?」とか甘いこと抜かしちょりますけど、え、もっかい言っていい? カスかよ?
それでも説明こんだけっつーのはあんまりにもあんまりなんで、このスーパーでビューティーでプリチーなレンゲお姉ちゃんがちょいちょい補足させてやったろーやないかい!
社会生活とイマジナリーお姉ちゃんとの軋轢で苦しんでいたタカミチマンに、ユタカ君は「僕たちは救われなくていいんだ」と言い放っちゃいました。全てを犠牲にしてでもイマジナリーお姉ちゃんを選ぶ勇気を彼に提示した訳ですね。本当は誰よりもイマジナリーお姉ちゃんを大切に想っていたタカミチマンは、ナズナの膝枕の上で漢泣きしてました。一件落着だけど絵面としてはキッツイもんがあるからレンゲお姉ちゃんとしてはユタカ君には真っ当に社会生活送って欲しぃょ。。。
後日談としては大会が終わってタカミチマンは旅にでたらしいっす。今まで自分が殺っちまったイマジナリーお姉ちゃん、そのアネリスト達への謝罪の旅らしいよ。そこにはなんとハルキングも同行してたんだけどいやそんな怪しい旅に付いて行くより学校行けよ? お前も社会性捨てて姉道を征くつもりか??
「アネリストの魂がある限り、イマジナリーお姉ちゃんは不滅だ。タカミチは気に食わねー野郎だが、あいつにやられたカエデ姉ちゃんは復活できたんだ。イマジナリーお姉ちゃんの復活に関してはオレ様の十八番だからよ」
そう言って彼らは社会生活に復帰していた元アネリスト達をみるみる復活させて社会不適合者の輪に戻していったのだ。地獄だろこれ。
そして決勝戦。
決勝の相手の名はカケル。仮面を被った男だったけど、その仮面を脱ぎ捨てた正体は、あの夜ユタカ君を姉道に引きずりこんだあのばちばち怪しい不審者その人だったとです。
「強すぎる光は更に濃い影を生む。ユタカ君、君はオレが見込んだ通りの弟だ。君がイマジナリーお姉ちゃんを生み出せたのは、それだけ君のお姉さんが素晴らしいお姉ちゃんである証左なんだよ。この大会で君が言った姉自慢の数々。これでオレの姉分析(アネライズ)で完璧に再現できるよ。ありがとう。【超姉主義(シュールアネリズム)】"ミチル姉さん"!!」
まさかの武神と謳われたユタカ君のお姉さん。そのイマジナリーミチルさんとの対決です。
「僕の姉さんだぞ!!?」
「そうだ。そして今はオレの姉さんだ。この大会で勝てば、永遠にな!」
「なんだと?」
「まだオレの優勝の願いを言ってなかったな。それは本物のリアルお姉ちゃんを手に入れる事だ!」
「その願いだけは達成できないはずじゃ!?」
「それは、人間を一から作り出してお姉ちゃんとして成長させる技術がないからだよ。だが、本人をモデルにしたイマジナリーお姉ちゃんを本人の脳にダウンロードしオレのお姉ちゃんへと書き換える事はできる! そうだろうイマジナリー名医!」
「技術的には充分可能ですね」
「お前なんかにミチル姉さんを渡すものか!」
「ちょっと、私の弟を”なんか"呼ばわりしないでよ。潰すよ?」
「ミチル姉……さん……」
ミチルさんとユタカ君、実戦では一度も勝てた試しもない相手だっただけに、勝負は一方的でした。もうユタカ君ボッコボコにされてた。でもカケルンはひとつ、大きな間違いをしていたのよね。
姉あっての弟。
弟あっての姉。
二つの関係性は切り離せないもの。だから、
「どうしたミチル姉さん? オレの言うことが聞けないのか!? さあトドメを刺すんだ!」
「う……! ユタ……カ……?」
「ミチル姉さん?!」「ミチル姉さん!?」
「うああああああユタカあんたまた私のプリン食べたでしょォォオ!!!」
「ミチル姉さん!!」「ミチル姉さん!?」
ついに正気(?)を取り戻したイマジナリーミチルさん。ここにきてユタカ君のアネリストとしての才能が爆裂完全覚醒。私だけじゃない、この世界に溶け込んだアネリスト達のイマジナリーお姉ちゃん全てを超姉主義によって顕現させる。ユタカ君のことが大大大大大好きな100人のお姉ちゃん!
追い込まれたカケルは遂に奥の手、自らのイマジナリー四姉妹の中でも最強のお姉ちゃん、"長姉・カペラ"を超姉主義った。
のちに第一次聖姉戦争とまで呼ばれた激しい姉バトルを制したのは、ユタカ君だった!
「勝者! ユタカ選手! 優勝はユタカ選手だああ!!」
「ふふふ、そうか。オレは、間違っていたんだな……。ユタカ君、君が弟として優れて見えたのは、君のお姉さんがオレの真の理想だからだと考えてたんだが違った……。君が、君こそがオレの理想のお姉ちゃんだったんだ……。ユタカお姉ちゃん……!」
「ひぇっ!?」
こうして一人のヤバい性癖の持ち主が輪をかけてヤバい性癖に目覚めた所で大会は終わりました。優勝の願いは姉リストバンドを外して貰うことで落ち着きました。ええー、たしかにあのリストバンドは私生活に支障をきたすレベルでクソダッサいけど、何でも願いが叶うんだからもっと欲張ればいいのに。「それならレンゲお姉ちゃん、また来年も優勝すればいいんだよ。僕とレンゲお姉ちゃんなら絶対に勝てるって思うもの」
あー、もう完全に毒されてますねぇ。
ま、悪い気はしないかなぁ。毒を食らわば皿まで。こうなりゃ大会連覇やったろーやないけ!!
「ただいまー」
「おかえりーって、なにあんた今日泊まりじゃなかったの?」
「あーー、なんか今日中に帰れた」
「はあ? よく分かんないけどお母さん買い物行ってるからちゃんと連絡しときなさいよ」
「わかったあとでしとく」
「今! しなさい!」
「あーもーわかったよ。全く、カケルさんのイマジナリー姉さんとはやっぱり全然違うや。可愛げってもんがない」
「何? なんか文句言った? あとお母さんに電話するついでにプリン買ってきてって言って」
「えー、た、たまには自分で買いにいきなよ?」
「……ま、それもそっか」
「えっ? ちょっ、ミチル姉さんどこ行くの?」
「コンビニ! プリン買いに行くから、アンタもなんかついでに買って欲しいもんある?」
「あっ、じゃじゃじゃあ苺クレープ!」
「高いの頼むなバカ」
ミチルさんは機嫌良さそうにコンビニに行きました。
「最悪蹴られるかと思ったのに、明日雨でも降るんじゃないか?」
ふっふふー。多分ユタカ君が口答えしたのが嬉しかったんでしょーねー。弟ってのはちょっとくらい生意気なほうがかわいいもんなんですよ。
「そういうものかな?」
そういうものです。お姉ちゃんっていうのは、いつだって弟の成長を後方腕組み姉顔で眺めてはウンウン頷くのをやめらんねーんだ。知らなかったっしょ? それはそれとして生意気な態度が気に食わないのも確かなんで、多分帰ったらミチルさんの稽古に付き合わされるのは間違いないぜよ。
「うわぁ。やっぱり今日誰かの家に泊めてもらおうかな」
そんな冗談をこぼしながら母親に電話でちゃっかり「帰った」と報告しちゃうユタカ君かわええ。(後方腕組み姉顔)
さてさてさて、これからユタカ君は姉道を突き進むアネリストとして、幾多のライバルと切磋琢磨っちゃう訳なんですが、それはまた別のお話。この話はここでおしまいです。
ではまたいつかアネモネドームで。
今これを読んでいる貴方の後ろにいるイマジナリーお姉ちゃんに会える日を心待ちにしています。
完
全日本イマジナリーお姉ちゃん選手権 飯田ちゃん @yuyuyun_yu
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