エピローグ『夏休みの終わり』
8月31日、火曜日。
高校2年生の夏休みも今日で終わりだ。そして、高校2年生の夏も今日で終わる。そんな日を俺は――。
「この作品も、昨日放送されたエピソードも面白かったですね!」
「そうだな! あっという間にエンディングだったな」
お昼過ぎから氷織の家でお家デートをしている。
今日はバイトのシフトを入れていなかったし、夏休み最終日なので、氷織と一緒に過ごしたいと思っていた。なので、一昨日、お泊まりから帰る氷織を家まで送ったときに、お家デートをしないかと俺から誘ったのだ。
俺の誘いに、氷織は快諾してくれた。氷織の提案で、先週末は俺の家でゆっくり過ごしたので、氷織の家でお家デートをすることになったのだ。
氷織の家に来てすぐ、俺は氷織の部屋で氷織と一緒に、昨晩放送された2人とも好きなアニメ2作品の最新話を観た。氷織と隣同士に座って、キャラやストーリーのことを喋りながら。お家デートでの定番だけど、とても楽しい。
「2作品とも最新話が面白かったです」
「面白かったな。氷織と一緒に喋りながら観たし」
「私もですっ」
氷織は可愛い笑顔でそう言うと、俺にそっと寄りかかってきた。エアコンで部屋の中が涼しくなっているから、服越しに伝わってくる氷織の温もりがとても心地いい。
「夏休みの最後の日まで、こうして明斗さんと一緒にいられて幸せです」
「俺もだよ。氷織と一緒にゆっくりして、好きなアニメを観られて幸せだ。最終日の今日にバイトのシフトを入れなくて良かった」
「ふふっ。お家デートしたいって誘ってくれてありがとうございます」
「いえいえ。こちらこそ、デートの誘いを受けてくれてありがとう」
「いえいえ。明斗さんからのお誘いですから喜んで受けますよ」
氷織は持ち前の優しい笑顔でそう言ってくれる。お家デートできて嬉しい気持ちが膨らんでいく。
「ありがとな」
俺はそうお礼を言って、氷織にキスする。
唇の独特の柔らかさも感じるから、唇から伝わる温もりには特別な感じがする。あと、アニメを観ている間にいただいたアイスコーヒーやクッキーの香りがほんのりと感じられて。
数秒ほどして、俺からゆっくりと唇を離す。すると、目の前には嬉しそうな笑顔で俺を見つめる氷織がいた。
「夏休み中にもたくさんしましたが、明斗さんとのキスはとてもいいなって思います」
「俺もだよ。夏休み中はデートやお泊まりとかで氷織と一緒にいることが多かったから、キスもたくさんしたな」
「そうでしたね。あとはえっちを何回もしましたし」
「そうだな」
肌を重ねているときのことを思い出しているのか、氷織はちょっとはにかんだ感じになっていて。それがとても可愛らしい。
キスもたくさんしたし、肌を重ねることもしたから、氷織と恋人としての関係をより深められた夏休みになったな。
「明斗さんという恋人ができてから初めての夏休みでしたし、明斗さんと一緒にいる時間がたくさんありました。ですから、今年の夏休みは今までで一番楽しくて最高な夏休みになりました! もちろん、沙綾さんや恭子さん、美羽さん、倉木さんなどといったお友達のおかげでもあります」
「そう言ってくれて嬉しいな。俺も今年の夏休みは今までで一番楽しくて、最高の夏休みになったよ。氷織っていう恋人ができてから初めての夏休みだったし。和男や清水さん、火村さん、葉月さんといった友達と過ごすこともあったから」
「そうですか。明斗さんにとっても最高の夏休みになって嬉しいです!」
えへへっ、と氷織は声に出しながら嬉しそうに笑ってくれる。夏休みの間は氷織の笑顔をたくさん見られたな。それも、今年の夏休みが今までで一番楽しくて、最高だと思える理由の一つだと思う。
「最終日ですから、今年の夏休みのことを思い出していますが……色々なことがありましたね」
「そうだな。デートやお泊まりは何回もしたま。デートはお家デートはもちろん、氷織の下着を買いに行ったり、コアマに行ったり、海水浴に行ったり、花火大会に行ったりしたな。氷織の家にお泊まりしたときは、翌日に火村さんや葉月さんと一緒に従妹の
「そうでしたね。みなさんとは海水浴に行ったり、美羽さんと倉木さんの課題を助けたり、オープンキャンパスに行ったり。私はお泊まり女子会や風邪を引いた恭子さんの看病、恭子さんのバイト先で助っ人のバイト、沙綾さんや恭子さんと課題をやりましたね」
「こうして振り返ってみると、今年の夏休みは盛りだくさんだったって分かるな」
「そうですね!」
夏休み中のことを思い出しているのか、氷織は楽しげな笑顔でそう答える。
俺と氷織で夏休み中にあったことを言ったから、夏休み中のことを鮮明に思い出す。楽しいことが色々あったな。その多くには氷織の笑顔があって。
「こんなにも盛りだくさんで楽しい夏休みは今までになかったよ。きっと、氷織っていう恋人がいなかったら、こんなにいい夏休みは過ごせなかったと思う」
「私も同じ想いです。明斗さんという恋人がいなかったら、こんなにも楽しくて素敵な夏休みにはならなかったでしょうね。明斗さん、ありがとうございます」
「いえいえ。こちらこそありがとう」
お互いにお礼の言葉を言うと、氷織は持ち前の優しい笑顔でキスしてくる。夏休みのお礼のキスなのだろう。
少しして、氷織の方から唇を離した。至近距離で俺と目が合うと、氷織はニコッと笑いかけてきて。キスした直後なのもありドキッとして。
「明日から2学期が始まりますが、明斗さん達がいますからとても楽しみです!」
「俺も楽しみだよ。夏休み中も氷織とたくさん会ったけど、学校で毎日会えるからさ。氷織達と同じクラスだから、一緒に学校生活を送れるし。葉月さんもうちのクラスによく来てくれるし。2学期がこんなに楽しみに思えるのは初めてだ」
学校に行くのは嫌ではないけど、夏休みは趣味を謳歌して過ごすから、最終日になると「明日から学校かぁ」と気持ちがちょっと重くなることが多かった。夏休みが明けた直後は学校に行くのが気怠く感じることもあったな。
「私もです。明日からはまた、一緒に楽しく学校生活を過ごしましょうね!」
「ああ。一緒に楽しく過ごしていこう」
氷織や和男達が一緒だから、2学期も楽しい学校生活を送れそうだ。それに、2学期は文化祭や球技大会、2年生である今年は修学旅行もあってイベントが盛りだくさんだし。氷織の笑顔を見ながらそう思った。
それからも、氷織の部屋にあるアニメのBlu-rayを観ながら、夏休みの最終日を氷織と一緒にゆっくりと過ごすのであった。
特別編8 おわり
□後書き□
これにて、この特別編は終わりです。最後まで読んでいただきありがとうございました。
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