第4話
まだ、日が明けきらない頃、王都のの入り口でフードを被った四人の女性冒険者が立っていた。
「もともと王宮にいたのに王都に入るのは外からか」
「なんか不思議だね」
そう彼らは明日里と夏奈、そして二人のメイドさんである。
現在の服装はカムフラージュのためにいかにも新人冒険者っぽい真新しい初期装備である。
「まあ私達は一応冒険者になりたくて都に出てきたという設定ですしね」
「わたくしたちも新鮮ですぅ」
そう言っているのは二人のメイドさんである。
最初に喋っていたのはシャルロット、赤毛でスレンダーな体つきをしている。
二人目に喋っていたのはソフィー、茶髪でボンッ、キュッ、ボンな体つきをしている。
職業的には、明日里が重戦士、夏奈が魔法使い、シャルロットが斥候、ソフィが剣士という配分である。
「あのさ、メイドさん二人に一つ言ってもいいかな?」
唐突に明日里がメイド二人に言いたいことがあるらしい。
「はい?」「なんでしょうか?」
メイドさん二人は急なことに戸惑っているらしい。
明日里が言いたいことを夏奈が代弁した。
「二人って宰相の娘さんと王女様だよね?」
「「!?」」
急に正体が見破られたことに二人は狼狽した。
「どうしてそれを…」
「わたくしたちは一回もあなた方とは一回も会っていませんのに…」
それに二人は苦笑した。
「私達二人にはほかの人にはないかもだけど鑑定の技能があるんだよ」
「それで貴方たちの苗字がシャルロットさんは宰相さん、ソフィーさんは王様のと同じだったから分かっただけ。多分、いちばん信用できる人は娘さん達だけだったんでしょ」
夏奈と明日里の解説にほかの二人は感心した。
「お二方はどうやって魔法を自由自在に使えるようになったのですか?」
「わたくしたちの時には専門の教師の方がいて一週間でやっと使えるようになりましたのに早すぎではありませんか?」
二人は明日里と夏奈の異様な魔法の操作力に疑問があるようだ。
夏奈は苦笑しながら理由を言った。
「それは明日ちゃんのおかげかな。私は向こうの世界で必要な知識量は豊富だけどこっちの世界で必要な知識は余りないの。でも明日ちゃんは向こうの世界で必要な知識は一部以外は余りないけどこの世界で必要な知識は豊富なの」
「なぜ私たちの世界について知っているのですか?」
シャルロットがさらに質問を続ける。それに対し夏奈は待ってましたとばかりに悪い顔をした。
「実は、私達にとって異世界があるってことは信じられていなかったの。でも一部の人が空想で書いた創作物があって、それにはまっちゃってね。俗にいう"オタク"っていうのになっちゃったの」
「こらっ、なつ!余計な知識は植えつけなくていいの!魔法で指導することがあったら指導するからその話はもうおしまい!」
そう言ってこの場での話は一旦終了した。
話題を変えるかのようにシャルロットがこれからのことについて話す。
「これからは四人の冒険者として活動するから名前を少し変えたほうがいいですね」
その言葉に夏奈が思い付いたかの世に手を挙げた。
「はいは~い!私はナツ、明日ちゃんはアス、シャルロットさんはシャルル、ソフィーさんはソフィアというのはどう?」
「わたしは問題ないよ」
「わたくしも問題ありませんわ」
「お二方が問題なければわたくしも問題ありません」
三者三様の反応をして、それぞれの名前が決まった。
「やったー!それじゃあパーティー名を決めたいね。というよりアスはもう考えてるよね?」
(ここからは四人の名前を書くときは名前を変えた時のものにしようと思います)
ナツの意味ありげな視線を向けるとアスは顔を真っ赤に染めた。アスが赤面しているかわからないほかの二人は不思議な表情でアスを見る三人の視線に耐えられなくなったのか観念してパーティー名を言った。
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そうしてすっかり日が明けた頃、四人は冒険者ギルドに来ていた。
冒険者ギルドは二階建てで少し圧力が感じられた。
「ここが冒険者ギルドか…」
「ここでいろいろ言っててもあれだし入っちゃおう」
話もそこそこに四人はギルドの中に入っていく。
ギルドの中は清潔で冒険者がちらほらテーブルに座って談笑をしていた。
その奥にカウンターがあり、そこには受付嬢がいた。
シャルルはその受付嬢に声を掛けた。
「すみません。冒険者登録をしたいのですが…」
シャルルに話しかけられた受付嬢は笑顔で答えた。
「分かりました。そちらにいる四人の方ですね。この記入用紙に名前と職業、パーティー名を記入してください。ギルドの説明をいたしますと、ギルドには階級が存在しておりF級からS級まであります。功績を上げるほど階級が上がっていきます。ぜひS級まで頑張ってくださいね」
ギルドの受付嬢はよくある説明を行い四人にギルドカードを渡す。
「これがギルドカードになります。それぞれの名前とパーティー名を教えてください」
代表してアスが答える。
「私はアス、こっちがシャルル、ソフィア、ナツです。パーティー名は……」
そうしてアスが三人に目配せをするとこう答える。
「パーティー名は遊覧四人組でお願いします」
「なぜそのような名前に?」
珍しい名前だったのか受付嬢がパーティー名の由来を聞く。
それにアスは三人を見ながら答える。
「私達は別々の場所で育ったの、でもとある所で出会って意気投合して、みんなで世界中を見て回りたい遊覧する四人で遊覧四人組」
その言葉に納得したのか受付嬢は再び笑顔になった。
「そうですか、それでは遊覧四人組の皆さんこれから頑張ってくださいね」
「「「「はい!」」」」」
そうして四人組パーティー遊覧四人組の冒険が始まるのだった。
天才天然少女と家庭的腹黒ヲタクエセギャルの異世界王国再建記 鎌威 @masayosshi
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