現在




「はいはい、ごめんね、んで、どうしたの?」


「今日さ、その幼馴染みの梨花と中高部活一緒だった親友の洋平と自由ヶ丘で会うことになったんだよね。」


「え、2人とも東京いるの?」

美雪は目を丸くして驚いた表情で祥吾をみた。


「そうそう、実は2人とも大阪の大学入ってから東京に就職してたんだよね。」


「あ、祥吾は知らなかったの?」


「そうなんだよ、昨日いきなり洋平から連絡きてさ。梨花と一緒に自由ヶ丘で酒飲もうぜ!って。俺は東京にいること知らないからビックリしたけど、めちゃくちゃ嬉しかったから行ったわけよ。」


「うんうん。」


「そしたらあいつ集合時間に全然来なくて、30分ぐらい梨花とサシだったわけよ。」


「いいじゃん、好きだったんでしょ?」


「いいわけないだろ!気まずいだろ高2のあん時から会ってないんだから!!」


「あん時?なに?」


「あぁ、ごめんごめん、色々あって結ばれない恋愛だったんだよ。」


「あーー、なるほどねえ。」

美雪はニヤニヤしながら祥吾の話に相槌を打つ。


「ただ、俺は会う前から緊張してたんだよね。梨花と高校2年ぶりに会うから。あと、俺が東京に来てから今まで、いろんな人と出会ったけどやっぱり梨花以上の人なんていないなって思い出したタイミングだったから、今回の再会はめちゃくちゃドキドキだったわけよ。」


「はいはい、いいじゃんいいじゃんそれで?」

                     ”





7年ぶりに会った梨花は高2の時よりも美人になっていた。髪色や化粧もあってか大人の色気が出ていたが、あの時と変わらずに澄んだ瞳をしていた。

『自由ヶ丘よく行くから俺予約しとくわ!』

洋平はLINEで、なんかの大事な記念日でも予約するか迷うくらいの高級イタリアンに場所を指定してきた。そして、洋平は時間に来ない。


「え、祥吾?ほんっとにひさしぶり!!ねぇ、元気だった!?!?」

相変わらず最初からよく喋る梨花に対して祥吾は

「久しぶりだね、いつから東京いたの?」

と、答えを知っている質問しかできなかった。完全に緊張している。



「祥吾、ぜんっぜん変わらないね!!笑」


「梨花は、変わったね。」


「そう?どこらへんが?」


「なんか、雰囲気かな。」

(今日は、あの日の事聞いたらまずいかな?)

(もう、昔の事だからいいよな?)

(あと、俺たちあの時からやり直せないかな?)

そんなことが頭の中でグルグル回り、梨花の目を見てうまく話せない。

(会話のキッカケにならないかなと、いつかのキーホルダー持ってきたんだよな。)



「いやでもほんと懐かしいな梨花。そういえば俺らが小学生の時さケンカしたじゃん?んで」



「お待たせ〜〜!!!まじごめん!!わるい!てかマジ久しぶりじゃん祥吾〜〜!!!」

洋平は相変わらず背が高くて、スラッとしていた。(東京きてからかな?なんか垢抜けたな。)



「洋平!!おせえぞ!!!んでほんと久しぶり!!!」

祥吾は洋平の肩を軽く叩く。



「今日は洋平の奢りねっ!」

と、梨花がいじわるそうな顔で言う。



「いや昨日も奢ったじゃーーん」

と、嘘っぽい嫌な顔で洋平は梨花を見る。



「あれ、2人は昨日も会ってたの?」



「あ、ごめんごめん。言うの忘れてた!俺と梨花、付き合ってるんだよね」






「……………え!まじで!!超おめでとう!!めっちゃお似合いだわ!!ずっと好きだったもんな洋平っ笑」


祥吾は、梨花の相手が洋平で良かったと思うと同時に出しかけてたキーホルダーを右ポケットにしまい込んだ。

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