整列

山口 実徳

1話目(完結)

 背格好の似た彼らが一列に並んだ途端、眼窩を一突きされ高く吊るし上げられた。整然と列を成した彼らは、想像もしない事態に声を上げる事も、のたうつ事もなくポカンと仄暗い天井を見上げるだけだった。


 矢継ぎ早に目から脳天を貫く作業は、恐怖も悪魔の笑顔さえもなく淡々と行われていった。


 彼らは整列させられたまま暗い部屋へ通された。扉が閉まった瞬間、部屋がパッと明るくなった。それは猛烈な火焔であった。ぐったりと横たわる彼らの身体から脂が弾け、皮が破れ、肉が露わとなり、それは地獄で追い剥ぎ遭ったようである。空虚な眼窩からは涙ではなく、ふつふつと沸く脂が流れていった。


 炎が消えると円い舞台に投げ出された。穏やかな灯りの下、眼を貫く枷から解放されると、柔らかい腹を摘まれた。頭や身体の区別なく切断されて、肉も骨も腸さえも一緒くたに擦り潰された。ひとりが消えると、またひとり、またひとりと無造作に千切られて砕けて消えた。


 舞台には枷だけが残っていた。


 ごちそうさまでした。


 メザシというのは美味しいものですね。

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整列 山口 実徳 @minoriymgc

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