桜によせて

白の竜人

第1節

もし

桜という植物が

誰かの願いや希望を込めた

ものであったら


それが長い年月をかけて

至るところに跋扈し

それ自体が世界を作り出したことは


つまり誰かの想いが

世界を作り出したと

いうことではないでしょうか


そしてその中に生きる私たちは

誰かの想いの中に生かされていて

誰かが思い描いた世界の

一部なのでしょうね


誰かの望みが

私の命を

私を

私の世界すら

作り出した

それが私の意思とは関係なくとも


残酷なことかもしれない

一方的に描かれた希望だから


それでも


誰かの願いが本物ならば

私が生きる価値も

生きる重みも

きっとあるのだと思う


それすら誰かに背負わされたものでも

私は誰かを信じることで

私は私を信じていたい


この薄紅の桜の中

誰かの描いた絵画の中

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

桜によせて 白の竜人 @whitedragonoid

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る