ソロから派生する浅羽の独り語り

浅羽 信幸

ソロから派生する浅羽の独り語り

『ソロ』というのは音楽から来たらしい。ざっとネットに溢れている情報を漁っただけなので本当に有力な説なのかは分からないが、少なくとも一般的には有名な説であるらしい。

 ちなみに、『ソリ』と言う幾人かでのソロの役割もある。らしい。


 ソリは吹奏楽などだけの世界かも知れないが、少なくとも合唱にもソロはある。合唱コンクールにもソロがある。


 本題はこの合唱コンクールである。

 一般的なイメージかどうかは分からないが、少なくとも私と同じ高校だった人たちは中学高校と課題曲及び自由曲の計六曲を歌うのが一般的だった。

 他のクラス、学年を合わせれば中学で十六曲、高校は……どうだったか。課題曲と言うか、クラスでの曲と縦割り、一から三年の同じクラス番号での曲だった気もするので正確な数は覚えていないが、少なくとも中学よりは多かっただろう。その中で、ソロがあったと明確に覚えているのは一曲しかない。一曲であり、最初の合唱コンクール、中学一年の時に見た三年生の自由曲だ。曲名は、覚えていない。明確に覚えているのはそのソロパートは学校祭の最中、話題になるほどの出来だったと言うことだ。凄かった、と。


 して、結果。

 ソロパートのあったクラスは金賞を逃した。


 講評で何を言っていたのか。私は私の耳で審査員の発した言葉は全く覚えていない。でも、金賞を逃した理由は覚えている。


『合唱コンクールは学校行事。一人の力で勝つモノではない』


 つまるところ、ソロパートは趣旨に反している。だから、駄目だ。


 生徒の反応は想像に難くないだろう。

 下の学年でも起きる疑問の声。ただ、これは非常に小さかったと思っている。

 一番大きかったのは、該当クラスの先輩方が漏らし続けた悔しさと恨みだ。むしろその声が私に講評の内容を覚えさせ、『ソロ』というテーマを出されたときに思い出させたのだ。


 趣旨とは何か。違うとは何か。個人の力は駄目なのか。いや、そもそもソロパートで押し切ったわけでもないし、他で差があるわけでもない。第一個人の力なら演奏者もそうであろう。指揮者は、残念ながら合唱コンクールのレベルなら関係は無いのだが。

 そして、良い合唱をして勝つのを目的としてきた。先生も知っている。それなのに、何を今更と言った話である。


 正直、言うのが遅いと思う。趣旨に反するなら、『選んだ時点で言えばいい。選んだ時点で言わなくては練習期間は無駄である』と。そもそも、趣旨を持ち出すのであるのならば本番に向けて頑張る期間こそ『趣旨』を最も満たす部分であるのではないか、と言うのは、書いていて思ったことであるが。


 ただ、一方で審査員の言うことも分かる。現に、私などは自身が何を歌ったのか。高校三年の一曲しか覚えていない。そのような人が多く居るクラスならば、確かにソロパートの人に任せきりでちゃんと歌わないと思われても仕方が無いだろう。

 批判に関しても、審査員に音楽の先生はいたものの、いたからと言って決定に大きな影響力を持っているとは限らない。内幕は知らなくても、押し切られる様な何かがあったのかもしれない。


 とまあ庇いはしたが、言い方は非常に悪かったと言わざるを得ないだろう。


 あれだけ批判が出て、悔しさが出ている以上は該当クラスが適当に手を抜いていたわけではない。探せば居ると言う批判は、金賞を取ったクラスだっているはずだ。

 真意がそこではないとしても、そこだけが切り取られる様な言い方をしてしまったのなら、審査員として、教育者として講評を行うことの趣旨に反するだろう。


 こういったことは、Twitter、ネットの記事、切り取り。だけでなく自分の力でしっかりとした文章を発せられる立場にいる人にも良く見られることだ。

 確かに、分かりやすくキャッチーにしないとはいけない。そうしないとそもそも主張を見ることは無いだろう。知られることは無いだろう。この文章のように、基本的にみられることなく終わるだろう。


 だが、その結果が余計な反発を招くものだと非常に残念である。この前みた記事も、その人は何も悪くないのにこじつけたばかりに主張がかすみ、あるいはなんでもそちらに持っていく人と見られてしまった可能性が高い。元々、その主張をしたいがためにその体験をもとに書いた可能性も捨てきれないけれども。


 長々と書いてしまったが、結局は文章で何かを伝えると言うのは難しいと言う話である。

 精進せねばならないと言う話である。

 文章を書くこと自体には確かに時間はかからないだろう。漫画の手間と比べるものにはならない。だが、絵で伝えられる細部を文章だけで、対面すれば表情や声音から伝わるところも文章だけで表現すると言うのは、本来ならば難しいことである。


 だから、何をどう誰に伝えたいのかを意識し続けなければならない。

 と、まとめられればそれなりに形にはなったのだが、要するに『ソロ』を課題としたストーリーが思いつかなかっただけでもある。連続投稿だけを目的とした文章である。


 いやはや、非常に申し訳ない限り。

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