藍玉丿奇跡
秋雪 こおり
魔術学園編
入学編
プロローグ 未来を目指して
未来。それは誰であろうと逃れる事はできない。
どんな人でも…いや生物は皆すべて未来に向かっているのです。俗に言う『引きニート』もある意味では未来をつかんでいるのです。
…っと前置きはこのぐらいにしておいて、とある少年少女の物語をみてみましょう。
「お父様、僕はリアノール魔術学園に行きたいです。」
食事の席で、僕「トマス・ガードナー」はそう言った。
リアノール魔術学園というのは世界四大魔術学園の一つで、法に反しない限り自由というあまりにも好待遇の学校である。
父は唸りながら考えていた。唸りながら考えていた。大事なことなので二回。
「トマス、合格しなかったら戻ってこい。頑張れよ。」といわれたものの、試験すらなかった事に気がついたのはだいぶ後の話。
翌日には魔術学園に向けて出発した。
魔術学園までは歩きで約1ヶ月かかるが、幸いにも定期便が通っているので半月ほどで到着する。
たとえ定期便を使っていても、魔物の脅威はあるわけで、半月の間に魔物を30匹ほど狩った。
とはいえ定期便は最新型の衝撃吸収を行う魔石が組み込まれた馬車だ。
一般的な馬車とは違い、揺れないので最高の乗り心地である。うん。魔物分と差し引いても十分にお釣りが来る。そんなレベルだ。
これは有名な噂だが、「定期便の馬車馬は馬ではなく、調教した魔物」というのがある。
僕の家系は曾祖父が著名な研究者で、世に普及していた「魔銃」の魔力効率、性能を上げ、「魔銃弾」を弾としてではなく、記憶媒体として利用できるように改良したほか、第八階梯までのすべての魔術を使えるようにした為、「男爵」の位を授かった。
それでその「男爵位」を利用して訊いてみたところ「魔物と馬のハーフです。」と答えた。噂は大体はあっているとも言える。
だから普通の馬ではなし得ない「終点まで休憩なし」で運行している。速さの秘訣だ。
ともかく、そうこうしているうちに、学園前に到着した。
見た目はスッキリとしたレンガ製のシンプルな校舎だ。
…僕はその時は無知な一個人だった。
藍玉丿奇跡 秋雪 こおり @Kori-Syusetu
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