リプレイの醍醐味と物語性と

本作はテーブルトークRPG「ソード・ワールド2.5」リプレイ作品であり、TRPGになじみのない方には敷居の高いものだろう。
が、はっきり言って勿体ない。特に冒険モノを好まれる方、書かれる方は一読して損はないと断言できます。

TRPGとは1人のゲームマスターが作成した物語を、数人(3〜5人程度が一般的)のプレイヤーが会話と鉛筆、サイコロを以て冒険するというもの。
(今回は基本ルールと世界観は「ソード・ワールド2.5」)
イラスト、地図などの資料もある程度用いられるが、各人の想像力に負う部分も大きく、ロールプレイつまり人種や性別を超えたキャラクターに成りきることも醍醐味である。

タイトルからして惹かれるこの「どうか、夜明けまで」のギミックの面白さは勿論、この物語の上でキャラクターを演じる各人の言動(セリフ)に特に注目していただきたい。
一般的な物語であれば作者は1人だから、当然1人の作者が複数の登場人物になりきってセリフを吐かせる。例え憑依したとしてもある程度限られてきてしまう想像力を、それぞれ別の人間が担ったら?
ポンポンと別方向からの考え(方)が出てくるという点で、リプレイとは生きている物語といえる。

リプレイ全般のお勧めみたいになったけれど、この作品、一度ぜひ読んでみてください。