冬の色

葉月林檎

冬の色

はぁ、と手に息を吹きかける。

赤く冷たくなった指先と、白に覆われた私のセカイ。


すっかりまだら模様になったスカート。

気持ち程度に雪を払い落とした。


ザクザク


意地を張ってスニーカーで来たのは間違いだ。

五分前の自分に言いたくなった。


ギュッギュ


ああほら、やっぱり。

足の裏に感じる冷たさに鳥肌が立つ。


一瞬だけでいい、季節が逆になったなら。

そんなことを思いながら、濡れた靴下をストーブの前で乾かす。


「どんだけ大きくできるか勝負しよう」


軽い気持ちで仕掛けた勝負。

軽い気持ちで賭けたコンポタ。


ぜえぜえ息を切らすほどに大きくなった

雪だるまを見て、二人で笑い合ったりして。

完成する頃には空は真っ赤に染まっていた。


冬は嫌いだ。

寒いし、乾燥するし。

嫌いで、嫌いで、嫌いで、好きだ。

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冬の色 葉月林檎 @satouringo

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