花散らし、乙女 ー The girls are out of bloom on the planet ー

作者 森林公園

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★★★ Excellent!!!

【物語は】
 ある亜空間を一人の少女が誰かを探して走っている場面から展開されていく。
 彼女が誰で何処にいて誰を探しているのか、この時点では明確にはされていない。これは始まりなのか、それとも分岐点なのか?
 
 本編に入ると、桔梗という人物の視点から始まっていく。
 この先に待ち受けるものとは?
 
【世界観について】
 これの舞台の環境は実際に訪れるかも知れない未来だなと感じた。
 そこに空想の社会が築かれている印象。
 あらすじに書かれているので少し触れても大丈夫だと思われるが、舞台は世界戦争後の日本。戦争によって齎されたのは繫栄や豊かさではなく、環境汚染だった。
 そこで人々はコロニーと言われるところで暮らしている。
 戦争により、多くのものが失われた世界なのだと思う。
 あるコロニーを除いては、そのコロニーごとに問題を抱えているようだ。

 そしてこの物語は、そんな中で唯一飢えや病に苦しむことのない特別な『コロニーJ』を中心に展開されていくようだ。

【登場人物について】
 途中までは、登場人物の名前が明かされないまま進んでいく。
 それぞれに個性があり、彼女たちがこの先どんな関係になっていくのか、いろいろと想像も膨らむ展開の仕方である。

 その後物語の中では、それぞれの出身やコロニーについて明かされ、何故彼女たちがこの場所に集められたのか分かってくる。
 そして、それぞれがどんな能力を持っているのかも明かされ、物語は面白さを増す。だがもしかしたら、この場面で明かされるのは能力の一部かも知れない。
 あくまでも個人の印象ではあるが、大切なのは彼女たちが初対面の人々とどんな風に動くかということにあるのだと思う。

【物語の魅力】
 登場人物に学生らしさを感じる物語だと思う。
 大人になると他人と仲良くなるのに、それなりに時間を要するものだと思う。もちろん性格にもよ… 続きを読む

★★★ Excellent!!!

世界戦争後の日本「コロニーJ」にある国立ジャパン学園に集められた少女たち。

桔梗、夏芽、木蓮、朝顔、牡丹。

彼女たちは、特殊能力を活かして謎の敵と戦いながら、皆、過去や苦悩とも戦っていた。

それぞれの成長、絡み合うストーリー。
章ごとに主人公を変えながら描くSF群像劇は、すこし荒廃的な世界観ともマッチしていてよかったです。余韻を残したエンディングに着地するのも良かった。

なによりも、どのキャラクターもそれぞれに一本筋が通っていて、愛すべき存在だと感じました。百合SFっていうか、セーラームーン的なクールさを感じましたね。