2021_0714

8時間授業が終わって、電車の時間を確認すると、田舎なので次の電車までの時間がかなり空いていて、すぐに帰ることができなかった。


授業が終われば河合ちゃんはすぐに近くにやってくる。

「河合ちゃん、時間めっちゃあるよ」

「じゃあ散歩しようよ」


今日はまだ7月14日なのに、外に出ると少し暑かった。昨日雨が降ったから、ムシムシしている。


河合ちゃんは、最近流行っている歌を歌いながら軽く踊っていた。急に走ったりジャンプしてたりして、とても元気な人だ。

私はあんまりそれに便乗して歌ったり踊ったりは少し恥ずかしさがあって出来なかった。ふふと笑うことしかできなかった。




あ、そういえば、と話を振る。

「河合ちゃん、もっと大人しいと思ってた」

「教室では猫かぶってるよ」

「確かにね」

「朱里ちゃんこそ、話しかけづらい感じだったからあんまり話せなかったけど、話してみたらおもしろいし、話しやすいよ」


この言葉はうれしかった。河合ちゃんと私は仲が良くなるにつれ、お互いが何重にもかぶっていた猫がすべて逃げていっていた。完全に私たちは、お互いに他人に見せないような部分まで割り切って話しているから、きっと河合ちゃんも話しやすいのだろう。




「もうすぐ電車来るし、駅行くね」


ばいばい。手を振ろうとしたら、私も行くよと言われた。

いいの?と聞いたらいいよというから、結局駅に最後まで送ってもらった。


電車に乗るときに言われた。

「夏休み入ったら、遊ぼうよ」

「うん」




高校デビューに明らかに失敗したと思ったが、遅めのスタートでも、友達が少なくても、一人、大切な友達ができたから…よかったのかもしれない。

いや、よかった。


今日の電車は空いていた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

弱いような強いようなJKのお話 みか @momo397

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ