いつもやられるボヤッキー
ぺんぺん草のすけ
第1話 尊い犠牲
『KAC2021 ~カクヨム・アニバーサリー・チャンピオンシップ 2021~』が開催された。
なになに、お題発表から一週間で、読者の獲得数が多い上位1~5作品が読者賞で、お題発表から一週間で、最も多くの★数を獲得した上位1~5作品がレビュー賞だって。
むりじゃん!
絶対無理じゃん!
俺なんか、参加したところで、可能性0ですわ!
え! この入り方、どこかで見た?
それは気のせいでしょう!
だって、「審査の関係上、次のエピソードにつながっていても続きは審査対象にしません」なので、前回のお話しとは全く関係ございません!
皆さんは、気づいているだろうか。
この世の中は、尊い犠牲の上に成り立っていることに。
例えば、日々の食事。
これも、家畜をはじめとする生き物たちの尊い犠牲の上に提供されているのである。
そう、食卓の上に並んでいるのは、尊い命なのだ。
それを粗末に扱うということは、その命を粗末に扱うという事なのである。
だからこそ、食べる前には、唱えたい。
その命、いただきますと……
そして、感謝の気持ちを送りたい。
あなたの命、ありがとう、ごちそうさまでした……
だが、この食事以外にも、尊い犠牲は存在する。
例えば、会社である。
ブラックの企業など、その最たる例である。
下々の底辺労働者の、やりがいと時間を搾取して、上級民族があぐらをかいているのだ。
コチラは、先ほどの食事と違って、感謝すらされることはない。
さも、それが当然であるかのように、搾取され続けるのである。
日々、擦り切れそうになる精神を何とか奮い起こして駅のホームに立つ。
何もない線路を見ると、そこに吸い込まれそうになるのを毎日こらえる。
滑り込んできた電車が、ドアを左右にあけるも、足が前に進まない。
――会社に行きたくない……
本能が、前に進むことを拒絶する。
自分の犠牲が、世の中の役に立っているのであれば、まだ、あきらめがつく。
自分の血肉が、誰かの栄養になるのであれば、それは、仕方ないと思える時もある。
――だが、俺のこの働きは、一体何になるのだろうか?
寂しさと言うよりも、無味乾燥の砂のような感情の中に俺の意識が沈んでいく。
この文章も同じだ。
リワードの有効期限がある以上、リワードは頑張っても消えていく運命なのだ。
上級民族の楽しみのために、底辺が搾取されている、構図は同じ。
これも、尊い犠牲と言えば、尊い犠牲なのだ。
そう考えていると、次の電車がやってきた。
再び、ドアが開け開く。
今夜も、家に帰るのはいつになるのだろうか。
帰りたい……
今すぐ家に帰りたい……
だが、ノルマをこなさねば、今月もまた叱られる。
一か月、一か月がギリギリだ……
犠牲になるのは嫌だ……
できれば食う方に回りたい。
いや、そんな贅沢は言わない。
せめて、今日一日、人として生きたい……
このままいけば、俺は過労死か……
頭の片隅に聞き覚えがある寿限無が流れてきた。
この物語はフィクションです。
いつもやられるボヤッキー ぺんぺん草のすけ @penpenkusanosuke
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