エピローグ

エピローグ

 何か悩みごとがある時、嫌なことがあった時。そんな時は、ちょっと寄り道をしてみませんか?


 そう、田舎町の小さな、小さな喫茶店で。


 明日、元気になれるよう。前を向いて、また歩いて行けるよう。


 たまっていたものをはき出して。栄養は蓄えて……。



✳︎




「バレ、ねえ、バレったら。お願い、ちゃんとおそうじをして。ねえ、バレったら!」


「ブロンシュ……。何度言えば分かるんだ!」



 ノワールは、口をぐわっと大きく開け。とがったキバを見せながら、ブロンシュのことを頭ごなしにしかりつける。



「おまえは一体いつになったら、ホウキを使いこなせるようになるんだ。この程度の魔法は、初歩中の初歩だぞ。そのくせ、上級魔法は使えるなんて……」



 おまえみたいな偏屈な弟子は初めてだと、ノワールはあきれた声を出す。


 へにょりと眉尻を下げるブロンシュだが、

「あっ! 見てください、ノワールさん。イチゴがなってますよ。もう春ですねえ」

 にこにこと満面の笑みを浮かべさせるブロンシュに、今度はノワールが眉尻を下げた。



「おまえなあ……。ったく。菓子作りもいいが、修行の方もちゃんとしろよ」


「はい、がんばります!」



 ブロンシュは真っ赤なルビーみたいなイチゴをつみながら、元気良く返事をした。




✳︎



 何か悩みごとがある時、嫌なことがあった時。そんな時は、ちょっと寄り道をしてみませんか?


 そう、田舎町の小さな、小さな、落ちこぼれだけど魔女が営んでいる喫茶店で。


 おいしいお菓子と紅茶を飲みながら、ねーー。

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魔女の寄り道 花色 木綿 @hanairo-momen

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