9. 〈fin.〉

 町をおおっていた雪が溶け。春になって、わたしは中学校に進学した。


 中学校は、小学校とはいろいろと違って。新しいことばかりで不安も多いけど、でも、その分、楽しみもあった。


 その楽しみの内の一つーー、料理部に入ったわたしは、相変わらずお菓子ばかり作っては食べていて。この間、とうとう周りの子に、「そんなに食べてばかりだと太っちゃうよ」なんて言われちゃった。


 それからね、柊くんとはメールのやりとりをしているの。今度の夏休みには柊くん、この町に遊びに来られるらしくて。でも、サッカー部の練習がいそがしいから、長い時間はいられないみたい。


 だけど、それでもわたしには十分で。柊くんに会えるの、今からとっても楽しみなんだ。

 柊くんとこうしてまたつながれているのも、ブロンシュさんのおかげだね。


 ーー本当にありがとう、ブロンシュさん。


 あの後、カフェ・プランタンにはまだ一度も行けてないけど。でも、そろそろ行けるんじゃないかなって、わたしは思うの。


 だって、カフェ・プランタンは、プランタンはフランス語で、春ーーって、意味だよね? きっと春になれば、また行けるようになると思うんだ。


 だから。


 今度、わたしの作ったお菓子を持って遊びに行くから。ブロンシュさんに食べてもらいたいな。それからね、またブロンシュさんと一緒にお菓子も作りたいの。


 あの温かな時間が流れている、カフェ・プランタンでね。

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