9. 〈fin.〉
町をおおっていた雪が溶け。春になって、わたしは中学校に進学した。
中学校は、小学校とはいろいろと違って。新しいことばかりで不安も多いけど、でも、その分、楽しみもあった。
その楽しみの内の一つーー、料理部に入ったわたしは、相変わらずお菓子ばかり作っては食べていて。この間、とうとう周りの子に、「そんなに食べてばかりだと太っちゃうよ」なんて言われちゃった。
それからね、柊くんとはメールのやりとりをしているの。今度の夏休みには柊くん、この町に遊びに来られるらしくて。でも、サッカー部の練習がいそがしいから、長い時間はいられないみたい。
だけど、それでもわたしには十分で。柊くんに会えるの、今からとっても楽しみなんだ。
柊くんとこうしてまたつながれているのも、ブロンシュさんのおかげだね。
ーー本当にありがとう、ブロンシュさん。
あの後、カフェ・プランタンにはまだ一度も行けてないけど。でも、そろそろ行けるんじゃないかなって、わたしは思うの。
だって、カフェ・プランタンは、プランタンはフランス語で、春ーーって、意味だよね? きっと春になれば、また行けるようになると思うんだ。
だから。
今度、わたしの作ったお菓子を持って遊びに行くから。ブロンシュさんに食べてもらいたいな。それからね、またブロンシュさんと一緒にお菓子も作りたいの。
あの温かな時間が流れている、カフェ・プランタンでね。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます