ご都合主義に飽きたあなたに

小説を読んで、登場人物にこう思ったことは無いだろうか?作者の意のままに操られる操り人形、と。そこには台本のままにすすむよくできた物語があるばかりで、お話としてはよく出来ていてもどことなく物足りない。そんなことを思った経験はないだろうか。

しかし本作は違う。登場人物たちは生きている。我々と同じように苦悩し、生きていく。まさに我々がそうするが如く。その様はごく自然で、ご都合主義などどこにもなく、あたかも生の人間を見ているかのように。ここには登場人物たちの暖かい生の息吹がある。

ご都合主義に飽きたあなたに、おすすめの一作である。