作者さんの意識が文字の一つ一つに満ちています。ひらがなでの表現が主人公をつくっていて、反対に漢字で表現されている言葉は強調されていて、その判断のすべてが高い精度で繊細に書かれています。難しいテーマ、凝った文章、練られた構成、そんなもの本当は必要ないんですね。高い美意識さえあれば文学は書けるのだと見せつけられました。おすすめです。