人の心、人の言葉、溶けて消えてしまうことが多いけど、きっとどこかで、なにか積み重なってゆく。物書きの仕事は、その言葉を形にすること。恐怖であれ、悲しみであれ、喜びであれ、愛しさであれ、言葉にしてしまうと陳腐といわれるものを、装飾し、時には削り取り、そして形ができる。この二人の物語を書くのであれば、きっとこうでなければならなかったという一つのカタチ。今の「嘘予告」バンザイな短編の数々に反旗を翻したい人は、是非読んででほしい。