第8話

内閣総理大臣に就任した一平は今後の日本の為に動き続けたが、韓国を訪問した際に銃で三発打たれ、暗殺され、その多難で奇想天外な人生に幕を閉じた。




死ぬ間際に、薄れゆく意識の中、未来で、いや、昔に付き合っていたモズ子にもう一度逢いたいと一平は思った。そして人生最後の屁が出て、5分前にタイムスリップした。



だがもう、すでに一平の意識はなかった。








それから100年後。





「日本で一番最初に総理大臣になったのは誰か。この問題…えーと、一平。答えろ。」




「えーと…」




下関のとある高校。


日本史の授業で、教師に当てられた一平はなかなか答える事が出来ずにいた。





「伊藤博文だよ。」




後ろの席に座っている同級生のモズ子は小声でこっそりと一平に問題の答えを教えた。



「伊藤博文です。」




そう答えた一平は「ありがと。」と、後ろのモズ子に小声で言った。





ほのかにモズ子に気を寄せていた一平は、放課後に関門海峡が見渡せる、高杉晋作の銅像がある場所にモズ子を呼び出した。





「何?どうしたの?一平ちゃん。」



「俺、モズ子が好きなそっちゃ。付き合って欲しいそっちゃ。」




頬をピンク色に染めたモズ子の答えは「はい。」だった。




一平は嬉しさの余り、屁をこいた。








しかし、屁をこいても何も起こらなかった。




一平はそっとモズ子とキスをした。




一平は「日本が今のまま平和でいてくれますように…」と、モズ子の舌に自分の舌を絡めながら思った。







そんな二人を微笑むかのように高杉晋作の銅像は静かにその場所に建っていた。



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忘却の未来 ミノビシャス @minokoshit

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