駄菓子屋の店主が地元で起こる事件を解決していく物語。
美咲町で駄菓子屋を営む天音純。彼にはもう一つの顔があり、町で起こる事件を解決する探偵であった。とある依頼が切っ掛けで高校生の潤羽水と共同生活を送ることになる。美咲町で起こる事件を解決していく中で、その事件の裏に隠された謎や潤羽水の両親の行方を追っていくことになるのだった。
駄菓子屋というほのぼのとした雰囲気やキャラクターたちのテンポの良い会話があり、とても読みやすい作品となっています。事件パートではしっかり謎解きがあり、ミステリー好きの方も満足できる内容となっています。是非一度読んでみてください。
兼業の探偵というのは何人か思い浮かびますが(もちろんフィクション上で)、駄菓子屋との兼業をしている探偵というのは寡聞にして知りません。面白いアイデアですね。
最初、私は「駄菓子屋探偵」とのタイトルを見た時、てっきり優しいおじいちゃんかおばあちゃんが探偵なのだろうと思っていました。しかしそれは私の勝手な思い違いでした。どうも探偵は自信家の若い男性のようです。
そんな駄菓子探偵のメンタルのテンションは上下が激しく、またそれに文体が呼応するかのようにコミカルになったりシリアスになったりしています。全体を通して筆の勢いの強い作品であり、作者であるミステリー兎さんが楽しんで執筆されている姿が目に浮かぶようでした。
今後さらにキャラクターや彼らの住む町の様子が深掘りされていき、物語に立体感が出ることを期待しています。