わんこ系JKを見て癒されるJK

三枝 優

論文

「うう・・・また誤字があった・・・」

 洋子は原稿を見ながら、チェックしている。

 ここは放課後の化学部室。


 もうすぐ提出する、高校生論文コンクールの原稿をチェックしているのだ。


「洋子、なんだったら誤字のチェックは手伝おうか?」

 そう言う美樹。


「これは、最初に部長に見てもらいたいんです!」

 そう言って、断る洋子。


 そうは言っても、原稿に自信が無いようで何度も見返している。


「はいはい、洋子は部長に褒められたいんだよね~」

 洋子の頭をなでる美樹。

 それに対して、洋子は敵意をむき出しにする。


「かってに頭を撫でないでください!!」

 グルルルル・・

 美樹のことをにらみつける。


「先輩、でもさっきから何度も見直していますよ。お手伝いしましょうか?」

「いいの、もうちょっとだから頑張る」

 後輩の楓の言葉に対して、洋子はそれでも断りを入れる。



「こんにちわ~。あぁ、みんないるね。ごめんごめん、先生に呼び出されていたんで遅くなりました」

「あ!部長!お疲れ様です。あの、論文の原稿作っているので一緒に見ていただけないですか?」

「うん、もちろんだよ」

「ありがとうございます!!」

「じゃあ、お茶を入れようか。その後でいい?」

「はい!」


 今日も、化学部は平和である。


----

(洋子視点)

 うう・・論文コンクールなんて、引き受けるんじゃなかった。


 でも。部長に”洋子さん、挑戦してみたら?”なんて言われたら断れなかった。

 何度も書き直して。チェックして。


 そして、最初に部長に見てもらうんだ。

 部長はどう言ってくれるかな?

 褒めてもらいたいな。


 そのためだけに頑張っている。


 化学部室では、美樹さんが邪魔してくる。

 学校でも美女で有名な美樹さん。なんで化学部に来たのか謎である。


 ことあるごとに、私にちょっかいをかけてくる。

 これはあれか?美樹さんも部長狙いか?

 不安でたまらない。美樹さんほどの美女。彼女に部長がとられないか・・


 あ!また頭撫でてくる。

 邪魔しないで~~!!


 私は、クラスではこの赤色の髪を見て不良扱いされているのに。

 化学部では、なぜ小動物扱い?


 あ!楓ちゃん。

 そんな、残念な人を見る目で見ないで!あなた後輩でしょ~!


(美樹視点)

 はあ~~~~。

 ここに来ると、本当に癒される。


 何時まででも見ていたい。洋子。

 うちの実家で飼っていた柴犬(存命中)のチョビそっくりなのよね。


 知らない人に頭を撫でられると、威嚇してくる表情とか。

 ちょっと意地悪すると、すぐにガウッって怒る表情。

 ほんとにそっくり。


 だから、ついつい意地悪をしちゃうの。


 あとは・・・


「部長、お疲れ様です」

 部長が化学教室にやってくると、パタパタと後をついて行く。

 そのしぐさ・・尻尾を振っているの見えてしまうくらい。部長が来るといつもついて行く。

 チョビそっくり。何時まででも見ていたいわ~~。


(楓視点)


 はあ~~~。尊い・・・


 美樹おねえさま💗

 相変わらずのクールビューティ。

 その美しさに感謝しています。


 部長と洋子先輩を見つめるまなざし。

 まるで聖母マリアさまみたいに慈愛に満ちたまなざし。

 あの二人を、あえて応援するなんて。

 無償の愛ってことでしょうか?

 なんて、お優しい・・・


 楓は、今日もミキ先輩を観賞するために化学教室に来ています!

 

 はあ~~それにしても尊い。


----


 放課後での化学教室。

 そこには愛と平和が満ちていたのであった。

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