【短編小説】日本一（ひのもとはじめ）くんの紹介

第1話 日本一（ひのもとはじめ）くんの紹介

僕の素敵な友達、日本一（ひのもとはじめ）くんを紹介します。

ひのもとくんは凄い友達なんです。

どんなにいじめられても、いじめだと感じない。

どんなにいじめられても、悪い事に目を向けず、困難を克服しようとする。

どんなにいじめられても、『相手にしてくれるだけで嬉しい』と思う。

どんなにいじめられても、『生きているだけで幸せだ』と言う。

どんなにいじめられても、疑う事をしない。相手に問題があるとは思わない。

どんなにいじめられても、『今ある幸せ』に目を向ける。

どんなに殴られても、相手の拳のほうが先にイカれる。

どんなにいじめられても、むしろ困難に燃えるタイプ。

本当に凄い友達だよね。

でも、本当に幸せだと思っているのかな。

『弱音を吐かない』のが大和魂だと思っていないかな。

本当に凄い人だけど、本当は未知の世界が怖いのではないかな。

自分の気持ちを素直に表現できないだけじゃないかな。

今ある現実と戦う事は大事だけれど、自分の意思を表現するという事は、もっと大事なんじゃないかな。

僕はひのもとくんの本音が知りたいんだ。ひのもとくんはカッコいいけれど、ひのもとくんの弱いところも見てみたいんだ。

ひのもとくん、いじめられても全然平気みたいだけど、素直に表現できるとしたら、

その手錠、つけたままでいいのかな。

『蹴りで戦うから大丈夫』とか言い出しそうだよね。

僕は五体満足で戦う君を見てみたいんだ。

君はどんなハンデがあろうとも、負けないよね。

本当に『大和魂』は凄いよね。『お国のために』自分の命を懸けれるなんて凄いよね。

でも、それは、ひのもとくんが望んでいるものなのかな。

もし、自分の心に素直になっていいなら、同じ事が言えるのかな。

いじめっこに向かって行って殴ったらいけない事なのかな。

ひのもとくんの頭は『今ある現実が幸せ』と思っているけれど、心はそう思ってないんじゃないかな。

僕はひのもとくんの本音が聞きたいと思ってるよ。

ひのもとくんの『心の声』が聞きたいんだ。

強い君の本気が見てみたいんだ。