第6話 絵名の秘密

 お疲れと言いコーヒーを絵名に渡し、窓のそばに行った。さっきまでやっていたから少し体が火照っていた。春が始まり暖かくなったばっかなのに外は寒かった。が、火照った体にあたり意外と心地よかった。まふゆも隣に来た。

「そういや、まだ1日も経ってないんだね」

「そういえば、そうだったね」

「だよねー。ほんと、時間って経つの早いよね」

「そうだね」

視線を窓からまふゆの方にやるとまふゆは泣いていた。

「まふゆ?どうして泣いてるの?」

「あれ?なんでだろう。わかんない」

まふゆの目からはどんどん涙が溢れていく。とうとう抑えきれなくなったのか声を出した。私の胸に蹲り泣いていた。私は抱きしめた。

「ねぇ、絵名。実はね、すごくすごく絵名が好きなの。どうしても抑えきれない感情だった。絵名のこと思うと胸が苦しくなる。痛くなるの。でも、少し暖かい変な感情。こんな感情初めて。絵名はどう思う?」

「どう思うって言われても……。けど、私も同じだよ。まふゆのことで頭がいっぱいになるの」

「……そうなんだ。もうちょっとこのままでいたい。いい?」

「はいはい」

私はまた抱きしめて、頭を撫でた。ふわっとくる風が心地よい。何分慰めただろうか。そろそろ足が限界だ。

「まふゆ?そろそろ……。寝てる」

はぁとため息をつき、布団に持って行った。ねっ転がせて毛布をかけた。あー尊い。まふゆの顔ほんっっっっっと可愛い。どうしたら何もしなくてもこんな顔になるのか。しかも、さっきまで泣いて、とろとろに溶けてたのに。明日は予定があるから早く寝ないと。おやすみまふゆと言い、頰にキスして寝た。

 スマホの時計は13:00を指していた。起きるのが遅れてしまった。まふゆに送ったメッセージは見てくれたかな。

『用事があるから家に戻ってててもいいよ。あ、18:00の予定には遅刻しないでよね!あと、1時間前に電話して!!ぜぇったぁいにね!』

と書いておいた。今私は瑞希の家に向かっている。10分ぐらい歩いて着いた。ドアホンを鳴らした。

『お、絵名来てくれたんだ。ほら早く上がって〜』

相変わらず元気なやつと心でつぶやき家に上がった。私はいつもの場所に行った。いつもの場所とは瑞希の部屋だ。まふゆの部屋より見た部屋だった。

「じゃあ、まず記念に写真でもとる?」

「いい、早くメイク済ましてよね」

「何それ。ボクメイクしてないみたいになってるじゃん」

「本当のことでしょ?」

「そんなことありません!」

30分ぐらいでメイクは終わった。撮るよ〜を合図に寄り添って撮る準備をした。何でドキドキしてるんだろう。いつものことをするだけなのに。まふゆにバレないか心配なのか。今頃まふゆは何してるだろうか。

「終わったし、次のことするか……よいしょっと。ほら、早く絵名も脱いで」

いつもならすんなりと脱ぐのに今日は脱げない。早くしてと言う代わりに手招きをしてくる。やっと脱げたが上半身のみだ。

「ほらおいで」

「胸ないから痛い」

「うるさい」

といい無理やり胸に顔を疼くまさせられた。ふわっと香る花の匂いが頭の中をぐるぐる回る。瞬間、涙腺が緩んだ。気付いたら泣いていた。声も上げずに涙だけ流して。それに気づいた瑞希は私に頭を撫でてくれた。

「あんたに慰めてもらうなんて変な感じ」

「そう……」

一瞬、瑞希の言ったそうがまふゆのと重なる。気持ち悪かった。自分のしてることはよくないことだってわかってる。けど、まふゆじゃ足りなかった。私の隙間だらけの心を埋めるのに二人以上必要だった。まふゆとヤっても足りず結局こうなった。瑞希とヤり始めたのは1ヶ月前だった。一緒に買い物に行った帰りにトイレの個室でキスしたのが始まりだった。その時はまだまふゆとはヤっていなかった。瑞希のキスはまふゆとは違い優しくなく雑だった。けど、その時の私にはその雑さがちょうどよかったのかもしれない。その時私は精神的に不安定で絵も描かかないで学校にも行かずずっと布団で蹲り泣くと言うのを繰り返していた。そんなことを繰り返してるうちにこんな悪事をするようになったのかもしれない。

「じゃあ、そろそろする?」

「うん」

やっちゃいけないってわかってるのに、やってしまう。そんな私が醜かった。私は瑞希を脱がして上半身を裸にさせる。瑞希の肌はすべすべして女の子みたいなのに、体つきは少し男の子に近かった。この不思議な感覚いつになったら慣れるだろうか。きっと慣れた時が来たら私の人生は終わりに近づくだろう。私が下になり、瑞希がキスをしてくる。雑なキスを。雑なのに気持ちいい。雑さの中に丁寧さも隠れていてきっとそこに惹かれたのかもしれない。いや、そう知らないうちに体が思わせてるだけかもしれない。実際はこのキスじゃなくて…

「絵名!大丈夫?なんかぼーっとしてるけど」

「え?あ、うん。大丈夫…」

あれ?何があったの?時計を見るときっちり2時間動いていた。

「よかった。急に動かなくなったらなんかあったんじゃないかって思った」

「ねぇ、瑞希。私に何があったの?」

「確かキスしてる時に何でか知らないけど急に倒れて動かなくなったんだよね。おでこ触ってみたら結構暑くてとりあえず服着させて寝かしておいたの。あ、今熱無い?」

「うん、大丈夫。ごめんね。迷惑かけて。って、ちょ!下脱がさないでよ!」

「ごめん絵名。もう無理。早くしよ?」

「あんたね…あ、ひとつ言わせて1時間半以内に終わらせて」

「はいはい。じゃあ、タイマー付ければいいでしょ」

タイマーつけてやるなんてなんか不思議。ま、いいか。

「じゃあ、絵名。触るよ?」

とうとう始まる。瑞希の少し硬い指が私の中に入る。

「んっ…そこっ。だめぇっ!」

「ふーん。ここがいいんだ」

「みず、ちょ、やめっ。あっ、んんっ、きもちいぃ…」

「気持ちいいんじゃん、じゃあ、もっといじめよー」

だめだ、このままじゃされるがままだ。でも、今更抵抗されるのは無理だ。このままじゃ本当にされるがままになってしまう。急に触るのをやめた。

「何でやめるの…?」

「だいぶ中濡れたから、入れられるでしょ?あ、待ってゴム持ってくる」

なぜか瑞希は勉強机の引き出しにゴムを入れていた。もっと違う場所に入れると思うんだけど。

「じゃあ入れるね」

ぬぷぷと音を立てて瑞希のが私の中に入る。

「あっ、やばっ、これ、いいっ」

「うっわ、絵名締め付けやばっ」

「全部入った?」

「まだ」

「まだ!?ちょ、う、嘘でしょ!」

「残り入れるね」

「あ、あ、だめっ、頭おかしくなる…」

「動くよ。いい?」

「うん…」

もうこれで瑞希に支配された。私はもうどうにもならない。瑞希はこうことをし始めると男の子みたいに話を聞いてくれなくなる。これのせいで何回彰人にバレそうになったか。瑞希は急に激しく動いてきた。

「あっ、ちょっ、激しっ。そんなに急に動いたらぁ、ああっ!だめっ!奥何回も…」

すると、急に私の携帯に電話がかかってきた。誰からだろう。

「瑞希一回止めて」

「やだ」

「ちょ、本当にやめっ、みずきぃ!ほんとに…あっ!だめだって…」

もう激しくされすぎて声がありえないほど出ている。電話の相手がまふゆだと、切ってこない限り1分後に自動で電話が繋がってしまうのに。こんな声聞かれたら何て言えば。だめだ、もう瑞希は止められない。電話が繋がってしまった。最悪だ。

『絵名。そろそろ時間じゃない?1時間前になったら掛けてって書いてあったからかけたよ。絵名?その声何。誰と居るの?』

「瑞希、やめてっ!まふゆと電話、繋がってるからぁ!だめ!ああっ、イク、イっちゃう…あああああっ!!」

『絵名!もしかして、瑞希とヤってるの?嘘、信じられない。しかも、私の時より…絵名、今日はなしでいい?』

「だめっ、ちゃんと、話させてっ!ああっ!瑞希、やめっ、もうイってるからぁ!これ以上動いたらイクの止まんないっ!」

最悪だ。もう生きていけない。気づいたら電話は切れていて瑞希はそんなの気にせずずっとやっていた。結局終わった時間はギリギリの17:45だった。 まふゆは多分待っていると思う。走って向かった。周りの人にぶつかっても気にせずに走った。18:15にやっと着いた。辺りを見渡すとまふゆがいた。

「まふゆ。ごめんなさい。あれはーー」

「分かったから」

今の言葉が今までで一番胸に刺さった。目も合わせてくれずにはっきりと聞こえるように放った言葉は私の頭をぐるぐると回って埋め尽くす。

「早く行こ。今日は何買うの」

「待たせておいてだけど、ごめん。今日はいいや」

「絵名」

何この感じ。何だかすごく罪悪感日苛まれてる。あんなことしなければよかったんだ。私は今自分勝手な行動で大切な友達を一人失ったと気づいた。あまりにも気づくのが遅すぎる。急に涙がこみ上げてきた。この涙は偽りない悔し涙だった。

「ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい…」

こんなのじゃ許されないのは分かっている。けど、心の奥底でまふゆなら許してくれると思う邪悪な心も潜んでいる。この心を今すぐなくしたい。そうすればもうあんなことはしないだろう。瑞希にもまふゆにも迷惑をかけてしまった。それを一人で償うのが使命。責任とはどれほど重いのか改めて知らされた。私は私はそんな後悔して泣いても遅いと分かっていたが泣いていたかった。きっと泣いたら邪悪な心が浄化されて、いい人に生まれ変わると思ったからだろう。

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片想い @karua820

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