第4話 説明
大理石の廊下を歩き、講義室に向かう。
困惑の声が多く、まだ状況は呑み込めない者の方が多いようだ。
講義室の中に入ると机が3列に分かれて複数ならび、もうすでに何人か座っているようだ。後ろの方の席には阿久津とその取り巻きが居座っている。
一番前も注目されそうで嫌なので中間くらいに座る。
「では、授業を始めるので着席してください。」
パンプレットのようなきれいに印刷がなされた冊子が配られる。かなり活版技術は進んでいるようだ。
「これから異世界転生講座~いきなり最強スキル手に入れてしまった件について~を始めます。」
思わず吹き出しそうになる。一昔前のラノベタイトルそのまんまじゃないか。誰なんだこんなふざけタイトルにした奴はと思い、著者の欄を探す。裏のページの端っこの方にひっそりと『山田 忍』と書かれていた。あー、これ途中で恥ずかしくなったパターンだな。でも笑わせてもらったおかげで少し楽になった。ありがとう山田忍さん。
「まず、第一講ですが・・・」
話を要約すると、
・この世界はパラメーターとスキルが生活の基盤の世界である。
・この国は勇者が転移してくる国であり、ガスタ国とよばれている。
・あなたたち転移者には様々な優遇処置がある。
・モンスターなどを倒して経験値を手に入れることでパラメーターの向上やスキルの獲得ができる。
・今後は各地に転移、その後ギルドに登録し、ダンジョンの攻略をするのが一般的な
流れである。
「この後は王宮に一泊後、各地都市部に転移してもらいます。部屋割はこちらで定めましたので地図をご覧ください。各支給品は部屋に置いてあります。」
部屋表を見る。どうやら女子と男子に分けているようだ。俺の部屋は、、と一番端の小さい部屋のようだ。1番大きな部屋は阿久津か。部屋でも差別されるのか...。負荷の部屋も名前から戦闘向きなスキルの順に小さくなっている。どうやら王国内にある程度のスキルの強弱の基準があるようだ。ということは、スキル『固定レベル1』は最弱か。この世界はどうやら過去にも転移者がいてユニークスキルの解析も進んでいる中、最弱の位置づけ。抱いていた小さな希望ですら打ち砕かれた。
ただ、優遇処置のおかげで、毎月宿屋分の支給があるのはまだ救いだな。こればっかりは先人の人たちに感謝だ。
部屋につく。扉を開けた瞬間、思わず鼻を覆う。埃臭い。机を見ると、手で跡をつけれるほど埃が積もり、部屋の角には蜘蛛の巣にも埃が垂れ下がっている。長い間使用されていないようだ。扉は軋んで締りはするけど、鍵は閉められない。まったく整備がされていないのだろう。アレルギーではないが、鼻がかゆくなりそうなほどだ。一通り見終わったら、最低限の掃除をすることに決める。
さて、支給品の中身は、えー、バッジのようなものと干し肉、金コイン1枚と銀コイン10枚、小さな宝石、簡単なナイフとカバン。
バッジは確か、転移者の証を証明するものだったな。これは大事だから絶対に失くせない。
干し肉は、地球では牛に相当するこの世界の生き物の肉。10枚程度か。
金銀のコインはお金。確か本に書いてあったな。金は10万相当銀は1000円相当。ちなみに銅は100円か。
小さな宝石はアクアマリンのような色合いだ。説明書を読むとどうやら水の魔石だそうだ。念じれば、スキルを保持していない者でも水を生み出せるそう。
掃除をすることに決めた。さすがにこんなところにはいられない。木製のバケツに、水の魔石を使い、水をため、雑巾を絞る。ひたすら拭き掃除をし、その次に掃き掃除。夢中になって、ピカピカになるまで磨き上げた。心地よい疲労感。部屋を見るとあれだけ埃だらけだった部屋は、すっかりきれいになっていた。掃除が終わったころにはすっかり朝のことは忘れていた。
「お、そうだステータスの確認をするか」
-----------------
佐久間 宏樹 LV1
HP 10 +10
MP 10 +10
力 10 +10
守護力 10 +10
魔力 10 +10
魔防 10 +10
スキル
ユニーク 『レベル1固定』
レア 『人類語解釈』
称号
『転移者』
-----------------
『人類語解釈』:説明 他言語使用者でも人類語の理解できる。方言などについては、一部翻訳不可の物もある。
人類語っていうのは、明らかにこの国などで主要に話されている主な話者が人間の言葉だろう。”人類”というぐらいだから他の種族の言葉もあることが予想できる。でも、この国の主要の言葉を練習なしで使えるのは普通にありがたい。
称号の欄をタップする
『転移者』:転移者に送られる称号。世界の恩寵により全パラメータに+10。
ナチュラルに強い。ただでさえ貧弱なステータスになのでこの補正のおかげでかなり助かっている。
あと気になるところといえば、力とか0になったらどうなるんだ?HPは0になれば死ぬと予測できるが、力0になったら寝たきりになるか、心臓も止まってしまうのだろうか。まぁ、そんなことは後で考えればいいか。
もう一度、みてみるか...
『レベル1固定』:説明 レベルが1から上がらなくなる。
はぁ、、、やっぱり糞スキルだ。まぁいい、補助金で生きれるのはでかいしなんとかなると信じよう。
俺は気分転換に外に出ることにした。
デメリットしかないスキルで生きていく @teteoran
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。デメリットしかないスキルで生きていくの最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます