第3話 鑑定
水晶に手をかざす。水晶の中心には、黄色の灯が揺らめく。ただ、その光はほかのスキルより明らかに暗く小さい。一息で吹き消してしまえるほどに。呼吸は荒くなり、汗が額を伝う。不安が頭をよぎる。頼む、せめて使えるスキルであってくれ。そう願わずにはいられなかった。
無機質なウィンドウが浮かび上がる。
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HP 10
MP 10
力 10
守護力 10
魔力 10
魔防 10
スキル
ユニーク 『レベル1固定』
レア 『人類語解釈』
称号
『転移者』
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『レベル1固定』?いや、まだだ、もしかしたら、レベルが1の代わりにすごいバフがかかるかもしれない。
震える手で『レベル1固定』の欄をタッチする。
説明 レベルが1から上がらなくなる。
え?嘘だろ。鼓動が早くなる。どうして、どうして自分だけこんな糞雑魚スキルなんだおかしいだろと怒りがこみあげてくる。いや、待て。ここからぶっ壊れになるかもしれない。と考え気持ちを落ち着かせる。
騒ぎ始める右。どうしたのだろうか。水晶からは黄金色が放たれている。
「うぉぉすげぇなんか黄金に光ってる!」
「まさか、これは」
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スキル
ユニーク 『創造』
レア 『人類語解釈』
称号
『転移者』
『交信者』
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「ユニークスキル創造!!」
「実に素晴らしいっ!今回の転移も大成功だ。」
「ん?そっちの君もスキルが出たみたいだね。どれどれ?」
顔を寄せる国王
「はっ笑。LV1固定じゃないかぁ笑。まあ、大当たり引けたからいいけどさ。」
と笑みをこらえている。
「LV1固定だって...」
「でも、ステータスとかがたかったりするんじゃない?」
「俺見てたけど、むしろ他の人より低かったぞ」
「異世界転生に乗り遅れたやつがいるなぁ笑」
「あんなやついても足手まといだろ」
「役立たずなんて放っておいて早くすすめればいいの」
小声で噂をしている。声の多くは、困惑、嘲笑、侮蔑、無関心だ。まただ、せっかく変われるチャンスを手に入れて、変われると思ったのに。悔しくて目頭が熱くなる。ただ、それを悟られまいと必死に抑える。
「見ろよあいつ泣き出しそうだぞ笑」
「ほっといてやれよ」
正直、逃げ出したい。ただ、この場から逃げ出しても生活できないのは理解している。ただ、今はみんなの関心がそれろという思いに集中する。
「見ろよ。また大きく光ってるぞ。」
見ると静であった。どこから吹いた風なのか制服をなびかせ鑑定を行っている。
光は不安定にゆらゆらと色と大きさを変化させながら、光が今一番大きくなった瞬間
水晶は砕け散り、ステータス画面が現れた。
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ユニークスキル『谺。蜈?髪驟崎?』
HP:15
MP:10
力:10
守備力:10
魔力:100
対抗力:100
素早さ:10
称号
『転移者』
『蜍??』
『雜?カ願?』
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異様なステータス画面に
「おお、次は武器作成か」
みんなの話題が逸れた。必死に気持ちが落ち着けようと息を深く吸う。今は、今後のためだと自分に言い聞かせ、残りのユニークスキル群を脳に刻む。隠密、テイムの極み、削除、ギフト、ログインボーナス...。聞けば聞くほどみじめになってくるのは分かっている。でも、何かに集中していないと耐えられないのだ。
「以上で終了です。今回は豊作ですね。」
「このあとは、この世界についてや保証についての説明です。扉を出て右に真っすぐ先にある講堂で授業を行います。では私についてきてください。」
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