第2話 王宮

 再び目が覚めるとそこは華美な装飾が施された大広間のような場所であった。美術の授業で見た芸術品のような絢爛さだ。周りには鎧をまとった者やドレスの者などがこちらの様子を怪訝そうに伺っている。


「おい、くそあまぁぁ!!」

激高する阿久津あくつ。苦しそうに必死に腕を抑えている。


「ここは王宮?」


「俺の異世界生活が始まるぜ」

と他の生徒たちも騒がしい。


「静まれ!王の御前であるぞ」

鎧をまとった者たちの中でもより一層華美な鎧をまとった者が、威圧感のある声を張り上げる。


中央に座る初老の男が咳ばらいをする。

「よい。転移者たちよ。我はこの国の王のガロアである。」

王冠をかぶり、たっぷりと白髭を蓄えた国王ガロアは笑顔で話す。


「まず、転移おめでとう。貴君らには、国賓転移者として歓迎する。転移者はこの国では尊敬される存在であり、我が国の不利益にならぬことであれば、貴君らの行動を保証する。」


「そのためには、貴君らの力を見せてもらう必要がある。」

と告げ、品の良さそうな緑のローブを着た男に視線を向ける国王。


「話を受け持ちます。王宮守護魔法長のサイモンです。君たちには、国王がおっしゃられた通り、まず転移者の方々には鑑定によって力を見せてもらうことが通例となっております。そこで、我が国が支援に値するとした人物に王国の保証を行うことになっています。」


その中、生徒たちをかき分けてくる男がいる。

 「ちょっとまってください。それでは力のないものは切り捨てるという話ですか。  それはクラスの担任として見過ごせません。」と正義感のある発言。

 この男は菊池きくち。本名 菊池きくち いさむ。本クラス3-5の担任だがことなかれ主義でクラスの問題ごとには干渉しない。外面第一主義的な男だ。


(何が、見過ごせないだ。自分が捨てられるのが怖いだけだろ)


サイモンは諭すように話す。

「ご安心ください。基本的には転移者のほとんどが支援の対象となるほどの簡単なものです。パッと見たところ、あなたも十分支援を受けれるレベルです。」


「それはよかった。」と胸をなでおろす菊池。

ほらやっぱりそうだった。この男の脳みそには保身しかないのだ。


「では、これから鑑定に移らせてもらいます。」

 指を鳴らすサイモン。両脇からは慎重に水晶玉のようなものが運ばれてくる。


「これは鑑定を行うことができるアーティファクトです。これに手をかざすことで、鑑定を持っていない人でもそのかざした者のステータスを見ることができます。では2列に並び、ステータスオープンとお願いします。」


「ステータスオープン」

水晶は強く青色に光始める。


「おぉ、すばらしい」兵士たちからも驚嘆の声が漏れ出る。


水晶玉の上に青色のウィンドウが見える。

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斎藤さいとう 景 《けい》 LV1

HP 20

MP 10

力 15

守護力 15

魔力 10

魔防 10

 

スキル

ユニーク 『剣術の極み』 LV.max

レア   『人類語解釈』

称号

『転移者』

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右の水晶は黒く光を吸収している。

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横田よこた みね LV1


HP 10

MP 30

力 10

守護力 15

魔力 20

魔防 15


スキル

ユニーク 支配

レア 『人類語解釈』

称号

『転移者』

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「おお、二人とも素晴らしい。やはり転移者は戦力になる。」


「詳しい内容はステータスと心の中で念じれば、詳細を見ることができますので、次の方お願いします。」


それからは次々に鑑定は進む。ユニークスキル『Am〇zon』『空間操作』『コピー』『奪取』『経験値倍加』『言語マスター』『信仰』

どれもラノベの解釈次第では化け物スキルになるスキル群たちだ。自分もそれらの強スキルを手に入れることができると思うと自ずと期待も高まる。自分の番は目の前にまで来た。

(絶対、強スキルを手に入れる!)



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