「学校指定図書」で読書感想文なんか書きたくないキミたちへ

椎名富比路@ツクールゲーム原案コン大賞

諸君、オレは「学校指定図書」という制度が嫌いだ。

 諸君、オレは「学校指定図書」という制度が嫌いだ。


小学校の読書感想文は、この制度があるせいでキライだった。

 

 読書感想文自体がキライなのではない。というか、キライではないとわかったのはつい最近のことだ。

 オレも自分が「レビュー好き」という性格を把握していなかった。


 つまり、「学校が本を指定するという」が、このうえなく大嫌いなのだ。

 

「キライ」と「嫌い」を使い分けるくらいには嫌いである。


 理由はとにかく、「本を選べないのはつまんない」からだ。

 

 おそらく、本自体に罪はない。

 学びもあるだろうし、読み物としても価値あるモノとして世に出たモノだからだ。

 実際、授業や試験に出てくる本の内容でも、印象深い作品は多い。

 ヘルマン・ヘッセの書いた話とか好きでしょ、みなさん?

 


 何がいいたいかというと、「本を選べないこと」は、児童にとってこの上ないストレスなのだ。

 学校指定図書制度は、「児童を読書嫌いにする」のに一躍買っていると言っていい。


 ここまで読んで「わかる」と思ってくれた方々は、オレの仲間だ。



 では、どの本がオススメなのか?


 学びが得られて、でもラノベっぽくない。どちらかというとビジネス書っぽいタッチがいい。


 そんな本を「二冊」、チョイスした。




●『エンターテインメントという薬 -光を失う少年にゲームクリエイターが届けたもの- 』

  著:松山 洋



 目のガンで眼球を取る手術を控えた少年の望みは、

「『.hack』の続編がやりたい」

 だった。


 ちょうど.hackシリーズが完結を迎えるころ。

 マスターアップも完了し、プレスするだけ。

 

 しかし、少年は発売日を前にして、目を失う予定だ。

 これでは遊べない。


 不憫に思った担当ヘルパーが、コナミに手紙を送る。


 感化されたコナミ社員は、社をあげて「どうにか完成品を社外に持ち出せないか」知恵を絞る。


 ゲームは少年の手に渡り、どうにか少年の夢を叶えることができた。


 しかし、そこには思いも寄らない背景が潜んでいた。



 もうね、一〇〇〇回勧める。

 これは素晴らしい本。

「学校指定図書」とはこういうものだ!



 近年、「ゲーム脳」なんていう仮説が出てきたり、依存症の深刻化が問題視されたり、とかくゲームに対する風当たりは厳しい。


 しかし、本著を読んでいただければ、

「ゲームは、エンタメは人を幸せにする力が確実に備わっている」

 と、胸を張って言えるだろう。



●『現役東大生が1日を50円で売ってみたら』

 著:高野 りょーすけ



「キミに言うコトなんてないんだよ」



 将来が見えず、学業を疎かにしている中学生に、現役東大生はこう告げた。


 別に勉強したくない学生を見放した発言からではない。

「自分も同じような境遇に立たされたとき、なにもできなかったから」

 が故の発言なのである。


「社会の役に立つから勉強しようぜ」と言われて反抗するのが、中学生という生き物だ。

 

少年の親は、

「勉強さえできれば効率よく将来を考えることができるので、なるべく勉強はしてもらいたい。天才でなくていいから」


 と語る。


 その上で、現役東大生は大切なことを教えてくれる。



 おそらく、読者も同じ境遇に立たされたことはあるかも知れない。

 

「将来が見えなくて、このままなんとなく生きていいのかしら?」

「夢中になれることを探さないといけないの?」

「行動することには理由が必要だよね?」


 そう考えた人なんて、一人や二人ではないはずだ。

 

 

 この本には、「その考えが正しいかどうか」という疑問を投げかけてくれている。


 答えは載っていない。しかし、思考法は載っている。


 思考する力を身につけたいのであれば、本著は値段以上の価値はあるはず。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

「学校指定図書」で読書感想文なんか書きたくないキミたちへ 椎名富比路@ツクールゲーム原案コン大賞 @meshitero2

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ