第2話ルート2負けヒロインのエスコート

「んっとねぇ、じゃぁ次はこれ着てみてよ。」

「なぁ。」

「え、この服嫌だった?じゃぁこれかな。」

「ねぇ、僕ら何してるの?」

「へ?見ての通りデートだけど?」

「そっすか」

バカは死んでも治らないって言うけれど、まさにその通りだな。

「ぉ~い小鳥遊く~ん」

いや、類は友を呼ぶって言うし僕もバカなのか?いや、しかしこれは限りなく腐れ縁にちkai..

小鳥遊たかなし諒平りょうへいく~ん!」

「ぅわあ!」

鼓膜どころか脳を震わせる大声に慌て意識を戻すと僕の数少ない友達(現彼女)

の静が不満顔でこちらを睨んでいた。

「デート中にぼーっとするなんてサイテー」

「すまない、君にも人権が適用されるということを忘れていたよ。」

「おや、もしかして君はボクを泣かしたいのかな。」

涙で潤んだ瞳を見て思わず焦り

「冗談だって、そうだお詫びに甘いものでもおごるよ。」

と余計なことを口走ってしまった。

「ほんとう!?ボクあそこの喫茶店のマンゴーパフェが食べたいなぁ。」

彼女が指さす方向には趣のある上品な喫茶店がひっそりと建っていた。

「わかったよ。ただそれを食べたらちゃんと僕に協力しろよ。」

「おや、さんざん放置しておいたくせにずいぶんな態度だ、僕に言うべきことがあるんじゃないかなぁ。」

くそ、こいつ根に持ってやがる。

「わかったよ。無視してしまいどうもすみませんでした。」

「口先では何とでも言えるんだよねぇ、ボクぅコーヒーも飲みたいなぁ。」

「わかったよ。セットで買ってやるよ。」

「やったぁ。」

彼女が無邪気な笑顔を振りまきながら抱きついて来る、想像よりもずっと柔らかい胸部の感触に思わず感嘆の声を漏らしそうになるが、必死でこらえる。なんか、ここで動揺するそぶりを見せたら負けな気がするから。

            *******

「うぅ~ん、甘くておいひぃ~」

「食べるかしゃべるかどちらかにしろ、あと少し静かにしてくれ。」

「いやだなぁ、ちゃんと名前どおりボクらしくにしているよ。」

早々に話に付き合うことをやめた僕はさっさと本題に移る

「それで、今日はボクをエスコートしてくれるんだろ?これからの予定は?」

「おぉう、そうだった!すっかり忘れてたよ。」

その発言に思わず帰り支度を始めようとする僕に彼女はスケジュール表らしき紙を僕に渡した。

「まず最初は、洋服を選びます。君は服にこだわりがなさすぎるからね。」

「ぐはっ」

こいつ、人の気にしているところを全力で突いてくる。エヴァの使徒でさえ、ATフィールドはやぶらねぇぞ。

「ふぅ美味しかった。それじゃぁ行こうか。あれどったの?」

自分のあまりにもひどい言動に無自覚とはナチュラルサイコパスかよ。

「いや、何でもない、では行こうか」

僕らはカフェを後にして元居たファッションセンターへと戻った。

            ******

ちょっとグイグイいきすぎたかなぁ...いや、大丈夫彼は鈍感だから、気にしてないはず、でも、それはそれでちょっとさみしいというかなんというか…ううん、弱気になったら負けだよ。天然なのがボクのいいところだからそれを利用してもっと距離を詰めよう...でも、おっぱいを密着させるのは恥ずかしすぎたからパス...

「おい、早く行くぞ」

「!わ、わかってるよ」

よかった気づかれていなかったぁ。

「なぁ、このジーンズ着たいから、似合っているかどうか見てくれない?」

「うん、わかったボクに任せて」

ジ、ジジジー

うわ、ジーンズの音って結構聞こえるんだな。ボクもホットパンツとかに着替える時とかに音が出てるかも....

「どう、似合っている?」

「!うん、似合ってるよ、普通にかっこi...」

何言ってんのボクぅ、これじゃ僕が彼のことを好きみたいじゃん。危ない危ない。ここは、そう冷静にクールに格好よく


「ふぅ~ん、わるくないんじゃにゃい」

やっべ、声裏返ったぁぁ!

「あはは、にゃいだって、にゃい。静かわいいね。」

!そういうことを普通に言うから好きになっちゃうんだよ。

      *******

「きょうは、エスコートしてくれてありがとう。僕、すごく楽しかったよ」

「ボ、ボクもつまらなくはなかったよ。」

「本当、それは嬉しいね。最後は僕にエスコートさせてよ。」

「そ、そうか!じゃぁ!その...手、つないでくれない?」

やばい、迫りすぎた。どうしよういきなり手はまずかったかも

「うん、僕でよければ」

やばい、ボク今、最高に幸せかも

             *******

「じゃ、ボクこの家だから。き、君も気を付けて帰りなさいよ」

「うん、今日は本当にありがとう。僕も楽しかったよ」

諒平が駅の自動改札をくぐる。言え、言うんだ好きだって、君が好きだって言え。

「あ、あのさ諒平、また練習デートしない?」

「...」

え、あれしくじったかもボク。やばい、長いこの沈黙。恥ずかしい。逃げ出したい。もういや...

「うん、それではまたデートをお願いしようかな。次の日曜とかどう?」

「!いいよ!開けといてやるよ。」

よし、攻略フラグが順調に建っているぞ、待ってろメインヒロイン。ボクが絶対に攻略してやるからな。



  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

今日から始まる3か月記念日 @tennnennpa-ma

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ