放課後、突然現れた美少女モデルと陰キャの俺の意外な関係→ボーイッシュだったはずなのに...【胸キュン】【ラブコメ】

雲川はるさめ

第1話




放課後、突然現れた美女モデルと陰キャの俺の意外な関係→ボーイッシュだったはずなのに...【胸キュン】【ラブコメ】


俺の名前は山吹シンジ。

現在、高校二年生。


季節は11月で、肌寒くなってきたある日のことだった。

放課後、いつもように帰ろうとしたら事件が起きた。


スマホと男に囲まれてる女がいた。



「おい、シンジ、あれ...!」


「ん、どした?」


「見ろ...!校門のところ、めちゃくちゃ可愛い女がいんぞ...!!」


「え...」


俺は同じ、吹奏楽部で、

陰キャ同士仲がいい藤島と一緒に帰っていた。

そんなときだ。

藤島が校門のところを興奮しながら

指差した。


顔を上げると。

確かに美女がいた。


それも、モデル級の美女だった。


超絶美女と形容するに相応しい外見だったから、男子に取り囲まれてた。

周りにいた何人かの男子がナンパしてた。


「ねえ、この学校の子?

見た事ないけど..」


「メアド交換しよ?あと、写真も撮っていい?」


「暇なの?もし暇ならさ、

俺らとカラオケ行かない?」


「こんなとこに突っ立っていたらさ

寒いよ...このマフラー貸してあげよっか?」


ぱっと見で陽キャだと判る男の先輩や

同学年の男が声をかけていたけど。


藤島的に、女の子のそばに行きたいみたいだったが、いかんせん、俺とおんなじ奥手な

男子だから。


遠くから眺めているのが精一杯だった。


しかし。


不思議な事が起きた。

俺と彼女がバチッと目が合って。


その瞬間、

彼女が、人混みを抜けてこっちへ来た。


「ちょっ...!どきな!!」


その仕草は。


お世辞にも女の子らしいとは言い難い。


ガシガシと男どもを掻き分けて進み、

スッと俺と藤島の前に直立してみせた。


「久しぶりじゃない...!シンジ!」


「え?」


「なんだよ、シンジ、お前の知り合いか!?」

「こんな可愛い子がお前の知り合いとか、

マジか...!?」


藤島は酷く慌てふためいて、俺の左肩を

揺すってた。


「いや、知らない...こんな美少女、

俺の知り合いにはいないな...」


そんなこと小声で言うと。


バーン!と女に空いている方、つまり

右肩をたたかれた。


かなりの力で。


「何よ!俺のこと、忘れちゃったっていうのか!!」


「あったまきた!もういい!せっかく、下見がてら高校まで来たから、校門のとこで、

寒かったけど、おまえを待ってて、一緒に家まで帰ろうと思ったのに!ムカつく!

もういい、おれ、帰る!!」


くるりと向きを変え、

女は俺たちの前からいなくなった。


結局、美女は。


プリプリして。


声かけてきた男たちを

蹴散らすような感じで、

一人、大股歩きで東の方へと消えていった。


「やっぱりなんか、お前の知り合いっぽいぞ..

ただ単におまえが彼女のこと忘れてるだけじゃね?」


「いや、今、物心ついた5才児のころから

現在までの記憶を辿ってみたんだが、

あんな美女は知らないな。

話したこともなければ、顔を合わせたこともない」


「ふーん」


こんな事があった翌日のこと。


俺は今度は、二年一組の教室内で彼女と

顔合わせをすることになった。


「都会のとある高校から昔住んでた

ここ、山梨県にもどって来ました。

わたしの名前は、

真島マヒロです。最初は、

この学校のこと、わかんないことだらけなので迷惑かけちゃうかもですが、

宜しくお願いします!」




「えーと、席は...」



担任の山田先生がそんなことを言いながら俺のすぐ隣の空いている席を指差した。


こうして、俺の隣に転入生が座ることとなった。



俺の隣に座るやいなや、彼女は小声で言った。


「どうだ?思い出した??」


彼女が名前を言ったせいで。

俺の記憶が一気に洗浄され、

一人の男女が鮮明に思い出された。


そして、その男女にまつわるエピソードが

フラッシュバックした。


三人ほどのガキ大将クラスの男と口喧嘩しても、更に取っ組み合いの喧嘩をしても

勝っちゃうよーな男勝りの女だった。


小さい頃から空手をやってたから

根性もあり、脚力もあった。


髪の毛は短く、万年ショートカット。


鍛え抜かれた腕力もあり、俺より

腕が太かった記憶がある。


ほっぺにはいっも喧嘩して作った傷を癒すための絆創膏。


男の子たちにからかわれてる女の子を庇い、

「こらー!謝れ!!女を泣かしたんだから!」と

果敢に立ち向かい作った名誉の勲章が

ほっぺには貼ってあったんだ。


俺は昔から陰気キャラで。

友達の女の子が泣いていてもいじりっ子男子に

面と向かうことなど、ビビリのためにできなくて。



強いマヒロの陰に隠れてた。


そんな幼馴染マヒロが。


歳月が流れて。


美少女化するなんて、一体全体誰が予想できただろう。いや、誰も予想できない。



「はは、マヒロ...。おまえ、どーしたんだ?

どーゆー、風の吹き回しで、そんな見た目

おんなおんなしちまったんだ?」


「俺の知ってるマヒロはだな。

男勝りなボーイッシュでだな。

そんな髪の毛ロングで茶髪で

素肌もめちゃ綺麗なおんなおんなした

女の子じゃなかったんだがな」



「訳あって女の子やってんだ!

今日の帰りに色々話してやる」



明るいマヒロは。

直ぐにみんなと打ち解け、仲良くなった。


たくさんの男子に取り囲まれていたけど。


別段、色目を使うとかなくて。

ま、それがサバサバした性格男っぽいマヒロらしいとこなんだけど。


ふつーに接してた。


さて。


放課後になって。

この日はテスト前で部活がなかった。


そのため、まだどこの部活にも入ってない

マヒロと帰れることになった。

俺がいつものよーに、藤島と一緒に帰ろうとしたら、藤島が遠慮がちに、俺と帰るのを断ってきた。

「今日、俺、塾行かなきゃいけないから

先に帰るな...」


と気を遣ってくれたのか、

俺とマヒロのふたりだけにしてくれた。


藤島のやつ。


塾なんて行ってないし、行き始めたなんて

ことも聞いてなかった。


美女化したマヒロと、一緒に歩いていた

もんだから、俺は先輩たちや、DQNな

同級生に絡まれることとなった。



「おいおい、どこのアイドルだよ?」


「なーんで、インキャが美少女なんか

連れて歩いてんだよ??」



「美少女はな、イケメンと歩くってゆー、

世の常があんだよ!」


冷やかしにあったが必死に無視した。

マヒロが、腕まくりをして臨戦しよーとしてたけど、俺は止めた。


「やめろ、マヒロ...。

転入初日に問題を起こしたら、さすがに

まずいから」


ぐっ、とマヒロは堪えてた。




「その女、俺に寄越しな...!」


ってやつもいたけど。


マヒロが無視して俺の手を取り、

走って逃げることとなった。


「あ、待ちやがれ...!!」


DQN達を撒き、やがて、

ふたり、よく遊んだ公園まできた。



「あ、あの、ブランコ、

よく乗って遊んだよな...!!」

「なつかしいなぁー!」

「ねぇ、シンジ、ちょっと遊んでこーか?」


「あ、うんいいけど」



マヒロがブランコに座り、

静かにこぎだした。


俺も直ぐ横のブランコに乗り、静かにこいだ。


やがて、マヒロが小さな声で語り出した。



「俺、モデル、やってんだよ」


「え?」


「お金を稼ぐために。お母さん、数年前から

ちょっと心の病になっちゃってな。

入院費用とかかさむから、お金が欲しくて」


「う、うん...」


「それで、短かった髪の毛、頑張って

伸ばして、女の子女の子してんだ」


「そうか...」


俺は一呼吸おいて、尋ねてみた。


「オバさんは元気なのか?心の病って、

かなりひどいのか?」


「だいぶよくなった。

最近は入院もしないで済んでる。

ブラック企業に勤めてたのがやっぱりいけなかったみたいでさ..」


「そうか...」


俺は空を見上げた。


それから、マヒロに向き直り、

告げた。


「それにしても、あまりに綺麗になってて

ビビったぜ」と。


「さ、そろそろ帰るか!」


俺が立ち上がると。


マヒロが、


「ん!」と俺に対して右手を伸ばしてきた。


「え?」


「俺の手を取って、立ち上がらせてくれよ!」


「お、おう」


俺はマヒロを引っ張った。


そのとき。


勢い余って、俺はマヒロと事故キスした。


「......っ!」


突然のことにふたり顔を見合わせて

真っ赤になった。


このあと。

マヒロが急に女になった。

言葉遣いが変わり、女になっちまったんだ。


「ああもう!今のわたしの初キスだったんだからね!!」



「お、俺も。初キスだった」


この5秒後。

マヒロが笑顔になった。

そして言うことには。


「なら、いいけど!」、



「え、、、」


「シンジの初キスを誰かに奪われてたら

ショックだけど!!あんたの初キスが

わたしなら、こんな事故キス、でファーストキスを失ったけど、許したげる!」



マヒロはそう言い放ち、

俺の手を握り、ズンズン歩き出した。


公園を後にし、


家までの近道を通った。


子供の頃によく通った、狭い路地。


「シンジ、もう一回、ここで、ちゃんとした

キスしてよ」


「お、おう」


こーして、俺らは。


事故キスからの、やり直しキスを

狭い、路地で。


三毛猫が見てたけど。


してしまったんだな。

































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放課後、突然現れた美少女モデルと陰キャの俺の意外な関係→ボーイッシュだったはずなのに...【胸キュン】【ラブコメ】 雲川はるさめ @yukibounokeitai

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