夜のなかに

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「おかえり」

「ただいま」

「夜のなかに、何かあった？」

「なにもなかった。普通の夜だった」

「そっか。それはいいことだ」

「よくない」

「お風呂入ってきたら？」

「先にごはん食べる」

「了解」

「なにごはん？」

「あたたかいそばです」

「そば」

「ごはんのほうがよかった？」

「そばがいいです」

「普通の日々だからこそ、こうやってそばが食えるんだよ」

「でも夜になると、なんかこう、あるかもって。思っちゃうんだよねえ」

「夜のおさんぽ欲求かな。好きなだけ散歩するといい。この街の夜は、ネオンと星空がきれいだから」

「見てきたことのように言うね？」

「見てるもん。毎日。正義の味方だから」

「はいはい。正義正義。そばまだあ？」

「もうできるよ」