第6話 告白
「斎藤先輩! 雫先輩ありがとうございます……お二人のおかげで私勝利先輩と付き合えるかもしれません。でも……騙しちゃって大丈夫でしょうか?」
「ああ、大丈夫だ、流石のあいつもそろそろ気づくだろうが、そこは俺達がちゃんと説明するから安心してくれ」
「そうそう、それに勝利君もあずにゃんみたいな可愛い後輩と付き合えるんだから文句は言わないはずだよ。普通に考えて雑草みたいにぴょこぴょこ幼馴染が現れるわけじゃないんだから。彼なら笑って許してくれるよ。」
「うー……そうですかね……というか、あずにゃんはやめてくださいってば……ああ、緊張してきた。ちょっとメイクを直してきます。勝利先輩には一番の私に告白して欲しいので!!」
扉が閉まりどたどたと足音が去っていく。それが離れていくのを確認して俺は溜息をついて隠れていた机の下から出ると武と雫がニヤニヤと笑いながら、俺をみていた。放課後になり二人にどう告白しようか相談をしに来たのだが、まんまとはめられたようだ。
「お前らな……今回のはさすがにやりすぎじゃないか?」
「だが、これくらいしなきゃ、お前は告白しないだろ」
「勝利君はヘタレだからね。でも、私達も君に本当に幸せになってほしかったんだよ。私たちは君に助けられたからね、そのお礼がしたかったんだ」
武が呆れたとばかりに、雫が珍しくマジなトーンで言ってきて俺もなんといっていいかわからなくなってしまう。まあ、幼馴染捏造はびっくりしたけどさ……でも、不思議と嫌な気はしなかった。それはこいつらが俺の事を想ってくれているというのがわかっていたし、何よりも梓の頭を撫でた時の嬉しそうな顔や、さっきの幸せそうな声を聞いてしまったら怒ることなんてできなかった。
「でも、俺はマジで梓が幼馴染になったかと思ったよ……」
「だが、まんざらでもなかったんだろ」
「あずにゃん色々頑張って勝利君の事を覚えたんだよー。そこは評価してあげて欲しいな」
「わーってるって」
他人の幼馴染を演じるっていうのはどういう気持ちなんだろう? そして、どれだけ大変なのだろう。そんな事はもちろん俺にはわからない。だけど俺のくだらない一言でこれだけ頑張ってくれているのだ彼女が俺をどれだけ大事に思ってくれているかはわかる。だから俺もくだらない意地を張ってる場合じゃないだろう。二人と梓がここまでおぜん立てをしてくれたんだ。逃げるわけにはいかない。
「大体勝利だって嬉しいんだろ? 職員室で一目惚れをした「茶髪の天使」と付き合えたんだからよ」
「そうそう、生徒会長になったのも梓ちゃんの好みのインテリイケメンに近付くためでしょ? お熱いですなー」
「だー、うっせー!! でも、色々ありがとうな」
そうして俺は二人に文句をいいつつも生徒会室を出て、彼女の待つ場所へと向かう。俺には幼馴染の彼女はできなかったけど、幼馴染を自称する彼女はできそうだ。俺は自分の想いをぶつけにむかうのであった。
結果? それはみんなの想像に任せようと思う、一言いうならばこの後ムチャクチャ幼馴染をしたって奴かな。
☆
これにて完結になります。
お付き合いいただきありがとうございました!
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幼馴染ヒロインっていいよなって言ってからいつもつるんでいる後輩が幼馴染を自称するようになったんだが……ちょっと待って、なんで俺の昔の写真にもお前が写ってんの? 高野 ケイ @zerosaki1011
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