現代に再建された“黒死館”へ

 新本格ミステリの時代から連綿と描かれ続けているある種の「部活」のようなオカルト研の雰囲気から、一足舞台となる館に踏み込むと一挙に訪れる超常現象への落差が楽しい作品でした。
 ZEROさん(天球儀ナグルファルさん)の知識の多さと、変格ミステリ愛の集大成のような小説になりましたね。
 まさに『黒死館殺人事件』を現代版にして短編にしたような雰囲気がありました。それでいてやはり、『ディスコ探偵水曜日』のようなぶっ飛んだ部分もあって、飽きさせない面白さがあると思います。
 伏線や推理のロジックも、本来であればこのタイプのミステリとは相性が悪いことが多いのですが、かなりバランス良く組み上がっていて、しっかりミステリの枠内に留まっているのが素晴らしいと思います。
 今までの作品よりもかなりレベルアップしている印象があり、同じ創作家として勉強になりました。