メルヘン、ファンタジー、あるいは童話世界での重厚なミステリーです。
はい、こう聞いて「何でもありかよ」と思った人、まだブラバは早いです。損しますよ。
ファンタジーと言っても魔法などは一切なく、一定の法則に基づいた環境下での、純然たるロジックが張り巡らされています。
巨大なクジラの腹の中に閉じ込められてしまった「ピノキオ」たちの、決死の脱出劇。
その最中に発見された、仲間の首なし死体。
クジラの腹中という「クローズドサークル」。
腹の中で定期的に訪れる「入水」と「排水」のサイクルにさらされつつ、ピノキオたちは果敢に謎を解きます。
その真実に隠された、登場人物たちの想いに、読者は必ずや涙を流すことでしょう。
カクヨムの「クローズドサークル」ものでは、間違いなくこれが最高傑作です。
これほどまで練りに練り込んだアリバイと論理的思考の犯人当て、あなたに書けますか?
完璧なトリック、悲壮感を誘う真相と結末。
脱帽しました。
(※本作が公募で一次落ちしたのは、ピノキオやゼペットなど、既存作品の引用だからではないでしょうか? オリジナルキャラであれば、もっと上に行けると思います)