トレンドの読み間違い

アーカーシャチャンネル

本編

 SNS上で『バズ』るのは一定の法則がある。悪意を持って便乗して『バズ』るのは論外だが、そこに何かしらの意志があるのは確実だろう。

例え炎上の意図はなくても、その内容によっては別の勢力が悪意を持って炎上させることも明らかだ。どう考えても炎上を根絶することはできないのか?

今のSNS炎上は、討論などのレベルともいえない。まるで、戦争を連想させるレベルだ。だからこそ、この状況は看過できないのだ。



 あるプロゲーマーは、自身が目撃した物を含めてSNS炎上案件を一つの何かにしようと考えていたのである。

しかし、普通にエッセイにしたとしても内部告発と判断されたり、まとめサイトの記事に転用されるのが関の山だろう。

自分が今まで得てきた知識を、どのような形にするのか悩んだ結果として……彼はWEB小説という形にした方がいいと結論を出す。

こうなったのには理由もある。あくまでも何とかするべきなのはSNS炎上だ。しかし、それをつぶやきサイトでそのまま書いたとしても炎上するのがオチだろう。

その為、最終的にはWEB小説で形にした方が早いと判断したのである。どのような形式にするかは、書き始めてから考える事にした。



 そして、完成した作品はWEB小説サイトで公開されたのだが、その反応は散々な物だったのである。

二次創作がメインなサイトではなく一次創作オンリーのサイトを選び、その上でランキングの傾向もチェックした。

それなのに読者の反応が全くないのである。PVを見ても反応はなく、読まれた回数も二桁に満たない。

(一体、何を間違えたのか?)

 作品の内容は現代を題材としたSNS炎上を阻止するために戦う若者の物語、異世界に飛ばされたりはしないがそこまで外したものでもない。

現代を題材にした作品でも出版されたり、更にはアニメ化という事例だってある。情報収取は怠っていないのだ。

それなのに、彼のWEB小説は外してしまったのである。一体、何が読まれない原因だったのか?



 それから数日後、あるきっかけで大量に閲覧され、気が付けば一週間弱で数千以上のアクセスを記録していた。

この状況は投稿した本人も知っていたのだが、何故に投稿した当日ではなく、それから数日経過してから急激にアクセスが増えたのか?

彼はツールによる不正なアクセス増加や匿名掲示板の晒し行為を疑うのだが、そこまでして閲覧数を伸ばしてメリットがあるのか分からない。

結局、彼は直感的な意味でもトレンドを見誤り、直観的な意味でもトレンドを外したと言える。直観だと当たり外れが存在するので、あまり非難されるような事ではない。

誰にでも「何故、このつぶやきがバズるのか?」と思う場面は存在する。それがSNSであり、彼が読むことのできなかった『バズ』るのカラクリなのだから。



 後に今回の唐突な『バズ』の正体が、ある読者がつぶやいた一言によるものと判明した。

プロゲーマーの彼は、その人物がつぶやいた唐突な一言がどうして『バズ』ったのか、理解できずにいる。

実際、彼をフォローしているユーザーの数を見ても自分と比べるとダブルスコア以上、数千のレベルで離れているのだ。

この『バズ』が今回の小説の閲覧数増加に関係しているのは確かだとしても、プロゲーマーがその人物と接触することはしない。

下手に接触して話を聞いたとして、それが正しい行動なのかはわからないし、SNS炎上の危険性があるからである。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

トレンドの読み間違い アーカーシャチャンネル @akari-novel

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ