第4話「初任務とアイドル2」
ランキング・・・・異能力者の能力ランキング。能力が強力なものほど上位に入る。
なお、このランキングに「言葉使い」はいない模様。
「動くと死ぬからな。」
カチャリ背後から拳銃らしき武器の音が聞こえる。
物理相手じゃ俺の能力は無力だからなぁ。どうすっかなぁ。
鈴音の方からは息を吐き出す音が聞こえているから、恐らく口が塞がれているんだろう。
まぁすぐ殺さないってことは、何らかの目的があってそのために彼女が必要になるんだろ。
なら今殺されるってことはなさそうだ。
とりあえず今は状況分析から...。
敵数は原を含めて現在は4名、能力は4名中3名は不明。
車内に突っ込まれた時に後ろに人はいなかったことから、事象は引き寄せる系又は空間操作系の事象。
位置は前の運転・助手席に1人ずつ。俺の背後に1人、前に鈴音、その背後に1人。
現在どこを走っているのかは不明。敵武装も不明。
「はぁ、面倒くさい。」
どうしたもんか。ため息を吐き出す。
車が止まった。
「ほら早く移動しろ!」
布袋が外され、視界が回復する。どうやら車ごと建物内に入っていたようだ。
鈴音の方は予想通り口にタオルを巻かれて怯えた様子だった。
「はいはい、わかりましたよ。」
背後にいる男にせかされながら俺たちは建物内の廊下を歩いてゆく。
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少し廊下を歩いていると前にいる男の足が止まる。
「ここだ。入れ。」
どうやらここが牢屋のようだ。
すたすたと黙って入っていく。
バタンッと扉がしまる。
男たちの足音が消えていく
「さてと、まずはこの手錠を」
バチッ。
「解除っと。お、うまくいった。」
どうやら1人は拘束系の事象使いだったようだ。
「ふぐ‼」
先ほどまで静かだった鈴音が声を出した。
どうもさっきまでは恐怖で状態だったようだ。
「あ、今外すんで静かにしてくれよー」
そういいながら、彼女の口に巻き付けられていたタオルを解く。
「ップハァ!い、いったい何のよあいつら⁉なんで原がぁ!」
「はいはい、わかったから静かにしてくれ」
鈴音を黙らせて俺は利和さんに無線を繋ぐ
「なによそれ!イヤリング?」
「今から助け呼ぶから静かにしててくれ」
「どうかしたのかしら影君?」
「あぁ利和さん、攫われたんで救援お願いします。場所はわからないんでそっちで探知お願いします。」
「君の能力なら捕まりはしないと思うんだけど。」
「マネージャーがよくわからない組織と繋がってて油断してるところを狙われました。」
「あらあらあ、初任務からこんなんじゃ書類仕事に逆戻りよ。それで組織についてなにかわかることある?」
「なんもないですね。」
「そうですか、わかりました。誰かそっちに向かわせるから少し待っていてください。それと分かったことがあったら随時無線の方にお願いします。」
「わかりました。お願いします」
無線がきれる。
最近の無線はすごいなぁ。どう見てもイヤリングだもんなぁこれ。
「ねぇもう終わった?」
鈴音が話しかけてくる
「終わった。少ししたら助けが来るから待ってろ。」
少しの間沈黙が続く。
「..........」
「...ねぇ?どうやって拘束を解いたの?」
「俺の能力だ。つっても解けたのは運がよかったからだ」
「ほんとにどんな事象よ。...いいわねそんなすごい事象使えて。」
鈴音がそんなことを俺に言ってくる。
「そんなことないだろ、あんただってランキング5位の事象使いだ。」
「それに能力面でみるならお前さんの方が上だ。」
「それでもよ。今この状況じゃ私はただの役立たずのお荷物じゃない。」
「お前さんは依頼主、俺は雇われた身だ。そもそも役に立つ必要はない。」
「それに俺の油断が原因でお前はここにいる。役に立つ立たないの話にしても俺の方が役立たずだよ。」
自傷気味に俺は言う。別に彼女を慰めているわけでない。
「それでもあんたの事象は凄いものよ。」
彼女は消えそうな声で言う。
「だってその事象を把握して、制御してるんだから、私はそれすらもできない。」
鈴音は今にも泣きだしそうな顔でそう言う。
「別に気にすることもないだろ。あんたは実力を認められてランキング5位に上り詰めて、みんなに応援してもらえるアイドルになった。」
「それだけは事実だから誇っていいと思うぞ。」
「仮に何かを偽っていたとしても、な」
「⁉...気づいていたの?」
鈴音は驚いた様子だ。
「なんも知らんよ。」
「ただ、偽り続けるのは疲れるだろうよ。」
鈴音はなにか言いたげな瞳でこちらを見るが言葉が出てこないようだ。
俺は無線を利和さんに連絡を入れる。
「あ、もしもし利和さん。」
「あーはい、大丈夫になったんで救援は結構です。」
「はい、はい、わかりました。」
「それじゃあまた後で」
無線を切り、俺は鈴音の目を見てにやりと笑いながらこう言った。
「気が変わった。この組織をぶっ潰す。」
「え?」
鈴音が驚いた様子で俺の方を見る。
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「まずはこの檻を開かないと話にならんからな」
「そこで林、お前の能力だ。この檻爆破で破壊しろ」
「はぁ⁉どうしてよ。そのあんたの能力でやりなさいよ」
「無理だ。俺の能力じゃこの檻は破壊もできんし解除もできん。」
「で、でも!私の火打石はさっき回収されて事象は使えないし」
「大丈夫だ。だからとりあえず火の玉撃て。撃てなきゃ死ぬだけだ」
「何よさっきはこの組織ぶっ潰すとか言ってたくせに!」
「まぁ、とりあえずやってみろ。」
「もう!わかったわよ!どうせできないだろうけど文句言わないでよね‼」
「あーはいはいやっちゃってー。」
鈴音が檻に向かっていつもやっているように火の玉を放つ。
「え?」
バシュぅぅぅぅぅぅぅぅ‼
「で、出たぁぁぁぁ⁉」
檻が破壊される。
「ほら出ただろ。」
「な、なんでぇ?火打石ないのに‼」
「説明はあと‼とりあえずこっち来い‼」
「わ、わかった!」
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《数分後》
「あぁ、めんどくせぇ」
「ちょっとどうするのよ!」
思ったよりもこの施設は小さかったようで案外早く見つかった。
現在は物陰で交戦中なんだが
「えーと、グレネードが三個にナイフ二本かー。」
「うーん、火力不足★どうすっかなぁ。」
「ちょっとぉぉぉぉぉお‼」
「あーもうわかりましたよ。」
グレネード敵陣に向かって1つ投げつける。
「グレネードだ全員交代‼」
「よし。走れ林‼」
「えぇぇぇぇだってさっきグレネーd」
「とっとと走れ死ぬぞ!」
「いやぁぁぁぁあ‼」
グレネードを投げた敵の方に向かって走り距離を詰める。
「あれ?爆発しない?」
「おい爆発しないぞ!どういうことだ。」
敵兵達がざわめきだす。そして..
「ばぁか、誰が馬鹿正直に数少ない最高火力使うかよ。」
敵兵の喉元にナイフを切りつける。
「ぐうぅ‼」
喉から鮮血が溢れ出る。
「この野郎。よくも先輩を‼」
「知るか。殺しに来てるんだから恨む資格なんてねぇよ」
そういいながら俺はその男の腹部を切りつけ、そして首を切る。そして先ほど投げたグレネードを回収する。
「これでも食らいやがれ‼」
背後から火炎が飛んできた。
バリィィィィィィィン‼
「な、どうして」
「悪いな。俺に事象は通じないんだ。」
距離を詰め、ナイフを突き刺す。
鮮血が舞った。
「一斉射撃!てぇー‼」
さらに奥の集団が俺目掛け銃を乱射する。鈴音は当たらないよう物陰に隠れた。
俺は先ほどの死体を盾にし、銃弾を防ぐ。同時にグレネードのピンを抜き死体のポケットに詰める。
そして、死体を盾に集団に距離を詰める。
「こ、こいつ‼」
敵兵の1人に向かって俺はこう呟く。
「悪いとも申し訳ないとは思わない。なぜならお前らから仕掛けてきたんだからなぁ!」
死体を踏み台に離脱する。
Boooooooooooon‼
先ほどまで俺のいた地点から爆発が起こった。
「ふぅ、これで全滅。」
「ちょ、ちょっとあんた血が。」
鈴音が近づいてくる。
「気にすんな。返り血だ。」
「でも...」
「そんなことよりも次だ。行くぞ」
「多分次で最後だろうしな。」
扉を開ける。そこにいたのはあらかた予想通り。
「はは。待っていましたよ‼‼」
「げッ‼原‼」
なんとなくこの黒幕がこいつであることは予想できていたが理由はいったい?鈴音の態度?
でも見た感じそこまで強くは当たっていないはずなのだが。
「あんたどうして私のこと‼」
鈴音が叫ぶ。
「どうしてだと、毎日毎日上層部から圧力‼他のマネージャーからの嫌がらせ‼人気だからこそ受けるとこれは我慢できていた」
「だが‼お前はいつまでたっても私のものにならない!私の恋人にならない!」
「「は?」」
こいつ今なんつった?
「アイドルとマネージャーの禁断の愛。私はこれに憧れてマネージャーになったのに!いつまでたってもお前は私に惚れない!」
「ふざけないでよ!何よその理由!私があんたに惚れないから?あんた頭いかれてるんじゃないの⁉」
あーマジか。
「もっと暗い理由かと思ったらクソ下らない理由で一気に力が抜けるなぁ。」
「あー、ちょっと聞いておきたいんだけど、今までこいつにあった事故とかって、あんたの仕業であってる?」
「そうだ!彼女が危ない目にあっている所を私が助けて吊り橋効果でゴールインのはずだった!」
「なのにあのバカ社長のせいでお前みたいな野郎が!彼女目当てで来やがって‼」
「んなアホなぁ。」
マジかよヤバイ帰りてぇ。
「もう許さない!さぁ、影やっちゃって‼」
「あーはいはい。あんたに恨みはないけど始末されてねぇ」
「ふはは、私を始末するだと?貴様にそんなことできない。」
「なぜなら‼」
そういうと原は手を振りかぶる
グサッ‼
「え?」
「なに⁉」
ナイフが俺の腹部に刺さっていた...。
「正しい熟語の使い方(戦い方)」 千人楽葉(せんじんらくよう) @1000zinrakuyou
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