追放された、狩人、夜に潜む
九太郎
追放狩人
「おい、てめえはクビだ」
ギルドのメインフロアでいきなりの狩人ギルド長の突然の追放宣告だった…俺は長年、ここに所属している狩人だったが…|
「ちょっと待てよ! 何を突然」
「突然じゃあねぇだろ!! 10年間もロクな獲物を取ってこねぇでよ!! それでちゃっかり報酬はもらってよ…ただの給料泥棒だろが!!」
「それは…」
ギルド長の言われた通り、俺は狩人なのに狩りはうまくない、せいぜいナイフの使いが上手いのがやっとだ…だが俺にはできることが別にあるのだ。
「だ、だが…」
「『だが』じゃねぇ!! 狩人はチームワークだ、なのにおめぇはいつも自分勝手に行動しやがる!! しかも結果も出さねぇ役立たずだ」
何がチームワークだ、自分の役に立たない奴は用済みだってことだろ、お前がそういうやつだってことはよく知っている
「フン! もしかして金が欲しいのか? だったらくれてやるからとっと消えろ」
明らかに少ない金額を俺に投げつけてくる。
「……わかった、今まで世話になったな」
これ以上は何を言ったところで無駄だろう、俺はあきらめてギルドから出ることにした。
「さてと…どうしたものか…」
俺は当てもなく街をさまよっていた、本来なら仕事を見つけるためにギルドで探しているがクビになった以上、緊急にやることは…
「少しいいか…?」
「え? 誰だお前は?」
フードを被ったいかにも怪しい奴が話しかけてきた。
「【夜の狩人】に依頼がある」
「…………そうか」
突然の依頼にスイッチが切り替わる、俺には狩人としてもう一つの顔がある、それが【夜の狩人】だ。
俺が得意な獲物はナイフで扱うセンスはあって、どう切れば効率的でどう投げればうまく刺さることが感覚的に理解していたが動物をナイフで刈るのは非効率的で得意ではなかったが、別の相手には有効だった。
それは人間だった、【夜の狩人】つまりは暗殺者ということだ。
俺と依頼者は場所を移して、依頼を聞く。
「依頼は何だ?」
「貴族の令嬢がさらわれた」
「それなら俺ではなく衛兵に言うのではないか?」
「相手が凄腕の剣士だったのだ、すでに護衛の何人か奴にやられている」
「令嬢は無事なのか?」
「今のところは無事だそうだ…犯人の言葉を信じるならな」
「そうか…犯人は?」
「場所はわかっている、よって依頼は攫った犯人のもとへの襲撃及び抹殺、そして攫われたご令嬢を救出することだ」
「依頼はわかった…任せろ」
俺はその場を後にする……
___________________
正体をばれないように
「……お前は?」
「囚われの姫を救出にしに来たものだよ」
「何…? なるほど貴族の手のものか…」
「彼女は無事か?」
「ああ…だが目的が済めば切るがな」
「……………」
「私は元は騎士だった…だが貴族の企てによって私ははめられた!! すべてを! 許せるわけがないだろ!」
なくしたのだ
相手は激高しながら剣を抜き、こちらに殺気を放ってくる。
「だからこそあの女を利用をして、貴族を切って、絶望させてやるのだ!! そしてそれを邪魔をするものもな!!」
相手は俺に襲い掛かり、俺はナイフを回転させて投げる。
「フンッそんなものか!」
相手は剣でナイフではじくが回転していたナイフの一本が軌道をまげて、相手の腕に刺さる
「何!? だがこんなもので私は止まらんぞ!!」
そのままこちらに突撃して間合いを詰める、そして俺を切るために剣を上段に上げる、俺はそのままナイフ迎撃する
「…………」
「…………!」
致命傷を受けて、獲物が落ちた金属音が鳴り響き、男の体が倒れる……
犯人の方が……
「即効性の麻痺だ」
「……馬鹿な…」
そのまま動かなくなるとご令嬢が捕まっている小屋に向かい、彼女を開放する。
「あ、あなたは!?」
「あなたの救出を依頼された者です」
「そ。そう…わたしをさらった人は?」
「いない、もう大丈夫だ」
「大丈夫ですか? お嬢様」
突然にフードかぶった男が現れて、フードを取る。
「!! じいや!!」
「爺や…? 貴族のものだったか」
「はい、正体を隠し申し訳ない、今回はあなたに内密に依頼するために隠させていただきました」
「なるほどな…」
「あなたの素性は存じております、そして狩人ギルドの一件も聞き及んでおります、後日当家から責任者に向けて通達があるでしょう」
これはギルド長も終わりだな…
「あ、あの!!」
令嬢が俺の手をつかむ
「ぜひとも私の護衛として、私に仕えてくれないかしら」
彼女は頬を赤らめながら言うが
「すまない俺は……」
外套を
「ただの狩人なんでな」
追放された、狩人、夜に潜む 九太郎 @Ninetarou
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