第3話 孤児院の隣は

「え~と、次は」


「まだあるのか...」


「あ、もう止めます?」


 こっちはまだいくらでもネタはありますわよ。


「いや...続けてくれ...」


 なんか疲れてらっしゃる? バカのクセに一丁前に堪えたりしてるのでしょうかね。


「それじゃあ、え~と、そこに居る近衛騎士の...誰でしたっけ?」


「マークだ...お前は本当に人の名前を覚えてないんだな...」


 えぇ、イザベラと乳繰り合ってる男なんか微塵も興味ありませんわ。


「そのマークさんなんですけど、私が孤児院に慰問に行く際、毎回必ず護衛として連いてくるんですよ」 


「毎回? 必ず?」


「はい、必ず」


「それはおかしいだろう? 護衛は当番制のはずだ」


「私に言われましても」


 本人に聞いて下さいな。


「おい、マーク。どういうことだ?」


 あらあら、マークさん俯いちゃいましたね。そりゃあ答えられませんよね。


「マークさん、私が孤児院の子供達の相手をしている間、護衛なのに必ずどこかへ消えるんですよ。2時間ばかり」


「本当なのか?」


 マークさん、顔が真っ赤でプルプル震えてらっしゃるわ。お手洗いを我慢しているのかしら? そんな訳ないわね。


「ちなみに王子、孤児院の隣に何があるかご存知ですか?」


「いや? 知らんが?」


「普通の民家を装おったラブホがあるんです」


「ラブホ...」


「はい、お忍びで遊ばれる方々に人気のお宿だそうで。貴族も結構使ってるみたいですよ?」


「貴族が...」


「休憩だと2時間から利用可能だそうで」 


「2時間...」


「2時間」


「マークさんが居なくなると、決まってイザベラも居なくなります。聖女見習いの仕事をサボッて」


「さ、サボッてなんかいないわ! 適当なこと言わないでよ 」


「あら? じゃあどこで何してるのか教えて?」


「そ、それは...」


 仕事サボッてマークさんとアハンウフンしてますとは言えませんわね。


「あなた、マークさんとラブホから出てくるのを、孤児院の子供達に見られているのよ? 子供の情操教育に悪いから控えて頂戴」


「ウソよ! 見間違いよ!」


 あらでもマークさんは地面に踞ってしまったわよ?


 あなたもいい加減認めなさいな。


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