第2話 教会にて

「王子、そちらの大司教様のご子息、え~と、名前なんでしたっけ?」


「ハリーだ。名前くらい覚えてやれ...」


「あぁ、そうそう、ハリーさん。その方とも懇ろになってますよ?」


「本当なのか?」


 あらら、ハリーさんが真っ青になってしまったわ。そりゃ身に覚えありまくりだものね。


「う、ウソよ! でっち上げよ!」


 こっちの性女さんはまだ往生際が悪いわね。畳み掛けますか。


「ねぇハリーさん、あなた良くこの教会の一番端にある懺悔室をお使いになってるわよね?」


「あ、あぁ、そ、それが?」


「あそこ、壁が薄いのご存じ?」


「えっ?」


 あら、絶句しちゃったわ。無理もないけど。


「壁が薄いと、それがどうしたんだ?」


「王子、壁が薄いということは中の物音も丸聞こえだってことですよ」


「え~と、つまり?」


 少しは頭使えよ、このバカが。あらやだ、私としたことがはしたない。おほほほ。


「つまり、アハンウフンしている声も丸聞こえってことてす」


「アハンウフン?」


「アハンウフン」


「う、ウソよ、でたらめよ!」


 ホントに性女さんは粘ること。


「でたらめじゃないわ。私も聞いたし、教会内の人はみんな知ってるわよ?」


「ほ、ホントなのか?」


 あら、やっとバカにも分かったのかしらね。


「えぇ、私言いましたよね? 教会内で有名だって。アハンウフンが聞こえる度に、あぁ、今日もお盛んだなってみんな言ってますよ? 知らないのはハリーさんとそこの性女さんくらいです」


「ウソよ~!」


 あらあら、性女さんが取り乱しちゃったわ。ハリーさんは崩れ落ちたわね。じゃあ最後のトドメといきますか。


「ちなみにそこの性女さん、大司教様とも懇ろになってますよ?」


「大司教とも? ホントなのか?」


「えぇ、これも教会内で有名な話ですもの。こういうの、なんていうんでしたっけ? 親子丼?」


「いや、違うと思う...」


 あら、違うのね。それはともかく、ハリーさんは立ち直れそうもないわね。


 じゃあ次いきますか。

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