春風がチラシのようにまき散らす花びら
紗里菜
広告のように花びらをまこう
ある山の上に染井吉野が咲いています。
山桜の遺伝子も受け継いで、花びらの上にあるハートのような切り目だけ濃い赤を帯びた桜の花びらです。
また人の掌にのると、萎びれながら、青白い光りを放つ薄くピンクの花びらとなってます。
けれども、咲いてる場所が所有者が放置している私有地の山の上のため誰も見てはくれません。
せっかくの桜の木が枝葉を下にたれ下げて、はらはらと風にそよいでいるのを見た太陽は春風を呼び司令を出します。
春風は太陽の熱で生暖かな温度まで自らを高めまずは電線を揺らして、一年で一番威力の強い実力を試します。
そして、太陽から司令を受けたように疫病で苦しむ近くの村人に桜の花びらをみて元気をだして貰えたら、自信をなくしている吉野桜もまた来年きれいにさけるだろうと駆け足で山の上を目指し、吉野桜に深呼吸を一つするようにお願いします。
染井吉野が大きく深呼吸して、枝葉が少しだけうわめいた瞬間に、ぶぼぶほほと染井吉野の花びらを自分に寄せて、麓の村に向け、生暖かかい春風とはなびらを一枚づつ飛ばしていきます。
麓の村の川辺だったり、郵便ポストの上だったり、はては通行人の頭の上だったり、村中の至る所に桜の花びらをまきます。
そして、山の持ち主の縁者が染井吉野を思い出します。
そして、家族だったり、恋人だったりに伝えます。
来年こそ賛否はあれど、コロナウィルス対応のワクチンを打てるようになれば、山の上の染井吉野を見に行こうと一 一。
春風がチラシのようにまき散らす花びら 紗里菜 @sarina03
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