えっちらとおっちら

えっちらとおっちら

　男がひとり歩いていました。えっちら、えっちらと言いながら歩くので、男はえっちらと呼ばれていました。

　えっちらが歩くところ、向こうから男がひとり歩いてきました。

　おっちら、おっちら、掛け声が聞こえてきます。おっちら、おっちらと言いながら歩くので、この男はおっちらと呼ばれていました。

　えっちらが歩きます。えっちら、えっちら。

　おっちらも歩きます。おっちら、おっちら。

　二人の男が、道の途中でぶつかって、くっつきます。

　えっちらとおっちらは一つになって、一人の男になりました。

　男は、えっちらおっちら、えっちらおっちらと掛け声かけながら、向こうへ歩いてきました。

　えっちらおっちら、えっちらおっちらと言いながら歩くので、この男はえっちらおっちらと呼ばれていました。