第16話 2018年 8月 1日 ~ 2021年12月31日 明日のために…エンターテイメントを!
だがしかし、「たけんこうち王子の伝記」の連載を進めるうちに、こんな僕の極私的小説にもポチポチと応援コメントが付くようになったのである。
しかも、コメントをくれるのは主婦の人が多くて、おおかた好意的な励まし系の言葉を頂き、僕のモチベーションはまた上昇し始めたのであった。(まぁ要するにおだてりゃ図に乗る素直な性格って訳ですな…)
作品内容も、男の子の成長と家族身内エピソードによる構成なので、幸運にも主婦の方々の興味をひいたのかも知れなかったが、やはり「読まれる」ことが何よりの励みになり、気を良くした僕はずんずんと連載を最終話まで投稿して行った。
次にはこれも原稿完成済みの作品「奇跡の猫 みにゃん」の連載を開始。…こちらは今住んでいる借家の大家さんの娘から貰った子猫を飼う話だ。
この作品は、産まれて間もない子猫を僕と妻マキが育てながら一喜一憂を繰り返しつつ愛情を注いで行く内容…って訳で、やはり猫好きの読者からの支持やコメントを貰うことが出来た。
そのことにホッとしつつ、連載を進めて行くと、読者からのコメントの中にちょっと気になる内容のものが入って来た。
「このお話は筆者の実体験、ノンフィクションですよね、良いエッセイだと思います…」
(何っ !? …エッセイだと!)
僕自身は極私的な内容ではあっても、一応は物語性を持たせたエンターテイメント小説のつもりで書いたつもりだったので、このコメントにはちょっと戸惑いと言うかショックを感じた。
何しろ考えてみれば小説とかエッセイの区別なんてのも意識していなかったし、さらに言えば随筆とか評論なんてのもしっかりした区分なんか判らずに文章を作って来たのだ。
僕が気にしてきたことは要するに作品が「面白い」かどうかってことだけだった。…時には文章の表記やら細かい文法表現なんかも無視して、より分かりやすく娯楽性に富んだ(と思う)描写を敢えてしてきた自覚がある。
しかしこの件は僕に一つの決意をさせることになった。
「実体験に基づく実録ドラマではなく、完全なるフィクションによる創作小説をやはり書かなきゃダメだな!」
僕は自分の胸に小さく闘志を燃やしていた。
…とは言うものの、もちろん創作オリジナル小説なんて実際にはポン ! と簡単に書けるほどたやすいモノではない。
そこで僕にもササッと書けそうなやつを連載することにした。
それは昭和の歌謡曲全盛期にヒットした楽曲とその歌手を取り上げて自分勝手にひとくち評論するコラムである。タイトルは「超個人的主観で放つ! 衝撃の歌謡曲&歌手論」
…ところがこれが実際に連載してみたら思いのほか読者に受けて、PV数が伸びると同時に多くのコメントを頂いたのだ!
ノッて来た僕はさらに「入院患者は眠らない !? 」「森緒くんと愉快かビミョーな仲間たち」の連載を投稿。…ここまでは原稿ストック分だった。
「ここから先はいよいよオリジナル完全創作小説を書かないとな!」
ストック分を使い果たした僕がついに覚悟を決めた時、しかしまたしても哀しいアレが起こったのである。
…「超個人的主観で放つ! 衝撃の歌謡曲&歌手論」が掲載停止処分になったのだ。
どうやら曲の歌詞を一部引用して載せたのが何かマズかったらしいのだが細かいことはよく分からなかった。
これもまた予想しなかった結果なので気持ちがヘコんだけど、その分創作小説への闘志は静かに高まって行った。
(僕に書けるモノって…何かな?) と考えた結果、好きな野球を題材にした話の連載を始めた。…舞台は甲子園出場を目指す高校の野球部。タイトル「ピンチピッチャー球雄!」…天才一年生投手の話だ。
今日までの実績で言えば、この作品が最もPV数を多く得ている。読者は当然ながら野球ファンが多く、中でも@shibachuさんからの応援コメントは野球知識が高いことも含め大変ありがたく、作品の参考にさせてもらった部分もあった。カクヨムの素晴らしいところだ。
そして僕は最も描きたかったSF怪獣小説を書き始める。
消されたゴジラ小説よりももっと面白いモノを書こうとリベンジ精神で取りかかった作品だ。タイトル「怪獣少女 甲斐路 優」…この話を考える上で気をつけたことは、臨場感リアリティー溢れる場面描写だ。
東日本大震災によって三陸沿岸の各都市が壊滅したり、原発が破壊されて深刻な被害が広範囲に渡り広がった現実を見た僕なので、巨大怪獣が大都市で暴れたところで今さらチンケな驚きすら覚えることも無い気がするのだ。
したがって、ストーリーは普通の女子高生が関東の都市を舞台に怪獣と対峙するシーンをクライマックスにもってくる構成にした。
もちろん自衛隊対怪獣の戦闘シーンもはさんでの話だ。
…こうして見ると、東日本大震災もそうだけど僕たちの科学や兵器とは何か?ということが頭をよぎる。
地震も津波も怪獣も、要するに災害そのものであり、それを僕らは科学や技術で抑えたり制御してきた訳だけど、いつの時代も結局制御しきれなかったときに大きな被害、被災者が出てしまう。
果たしてさらに科学力や兵器力を増強して対応することが災害を抑える唯一の策で良いのだろうか?
そんなことを震災以降考えて来た僕だけど、来年 (2022年) は「怪獣少女 甲斐路 優」の続編を書こうと思っている。
そしてこのエッセイもここで終わりにする。
今まで僕の作品を読んでくれた読者の皆さん、どうか2022年もお付き合いのほどよろしくお願いします。
では。
森緒 源でした。
2011年 3・11からのカクヨム 森緒 源 @mojikun
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