第15話 2017年 4月1日 ~ 2018年 7月31日 ④ ゴジラ小説でカクヨムデビュー
「投稿さえ出来るなら、スマホでも何でも良かったんだよ僕は…」
「でも、PC のキーボード入力の方が文章作成が圧倒的に早いですよ、森緒さん!」
「…そうかも知れないけど、昭和ローテク原人の僕にはとても扱い切れるシロモノじゃないって思い知らされたから、昨日」
事務女子と虚しい会話をしながら苦笑いを浮かべた僕だった。
…結局、僕はその日帰宅してから妻に頼んで自分のスマホにてカクヨムの登録をしてもらった。
「よし、これでとりあえず小説をサイトに載せられるぞ!」
という訳で、僕は勇んでカクヨム内執筆を開始した。
…と言っても、まず書き始めたのは例の「復興へのG作戦!目覚めよゴジラ」である。すでに完成している原稿がある作品なので、執筆というよりはサイトへの書き移しといった感じだが、同時に誤字脱字や文章のおかしい箇所をチェックして直しながら入力して行った。
最初は例えば文章の頭の一字下げなどのやり方も分からず戸惑いも多かったが、まずはやっぱり作品を取り急ぎ入力して、果たして読者が付いてくれるかどうか知りたい気持ちが大きかった。
勤めから帰ってから、僕はサイトにせっせと自分のゴジラ小説を入力して行った。
キャッチコピーも必死に考え、
「ゴジラファンによるゴジラファンのための本格怪獣小説!」
と入力した。
すると、何と嬉しいことに少しして読者からの反応があった。
「おおっ!…僕の作品がついに読まれたぞ !! 」
見ると、"オズ研究所"さんから応援コメントを、"雷藤和太郎"さんからレビューコメントを頂いていた。
その他の方からもハートや星を頂いた。
コメントに、東日本大震災の原発事故放射能汚染の解決にゴジラを充てるというストーリーに共感する旨の内容があり、個人的にニヤリと嬉しい笑みがこぼれる僕だった。
「復興へのG作戦!目覚めよゴジラ」全13話15,396文字の掲載を完了した僕は、読者からの反応があったことに気を良くして、続編の「2大怪獣激突!ゴジラVSバラート」の連載を開始した。
こちらもすでに原稿がある作品なので、僕は気分も高らかにサクサクとサイトに載せて行った。
ゴジラ小説2作を入力した後、僕はさらに自作の別作品「たけんこうち王子の伝記」の連載を始めた。
これもすでに完結済みの原稿があるので、適当な文字数で話を区切りながら徐々に入力して行った。
「たけんこうち王子の伝記」は実は僕の古き昭和の子供時代の話だ。
生誕時から幼少時代~小学校卒業した頃までの話を家族身内などの様々なエピソードや事件を交えて描いた物語となっている。
という訳で、順調なカクヨム投稿スタートを切り、張り切っていた僕だったが、まもなく突然のアクシデントに襲われたのである!
僕のカクヨムデビュー作品、思い入れを込めて書き上げた渾身のゴジラ作品2編が、突然カクヨムから消えてしまったのだ!
「何故、どうして?…いったい何があったのか?」
…全く訳が分からず、脳内パニックを起こした僕はとにかく作品消失に至った理由を解明しようと思ったが、カクヨム事務局への問い合わせ方法も分からず、ただオタオタと焦っていた。
…あれこれ詮索したり、人に聞いたり何だりと調べてみた結果、どうやらゴジラ作品が消えたのはやはり「著作権」に抵触するからではないかということらしかった。
しかし、僕自身としてはそもそもこのゴジラ作品は東宝映画会社に送付し提示を試みるも向こうから門前払いをくらったものであるし、カクヨム投稿に際してもコンテストに上げる意志も無く、あくまでも個人的趣味にてゴジラファンに読んでもらえれば良いやという考えで載せた訳だから、著作権に絡んで掲載停止になるなんて全く思わなかったのである。…逆に、このゴジラ作品を何とか他人に読んでもらおうと考えてカクヨムにたどり着いたはずだったじゃないか!
…脳内がぐるぐるとめまいを起こして僕はにわかに倒れそうな気持ちになっていた。
思えば、あの東日本大震災の未曾有の被害を目の当たりにし、あの想像を絶する大津波に呑み込まれ市街地がごっそり流されて行く都市の姿、さらに追い討ちをかけるような原発の爆発事故、放射能汚染の見えざる恐怖…そしてその後久方ぶりに観たゴジラ映画「シン・ゴジラ」への不満。
僕の中でこれらの事象が、大震災…原発事故…放射能…ゴジラと繋がり、自作ゴジラ小説…カクヨム投稿へと流れついて来た道のりが、結果無情にも掲載停止処分!
結局、「復興へのG作戦!目覚めよゴジラ!」(全13話) は 295PV、「2大怪獣激突!ゴジラVSバラート」(全16話) は 83PV を得た時点で消されてしまった。
…僕のモチベーションはダダ下がりで正直半分はもう抜けがらのような気持ちになりながら、それでも仕方なく「たけんこうち王子の伝記」だけはずるずると連載を続けて行ったのである。
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