走ること。そして千佳は思う、梨花と一緒に。

大創 淳

第二回 お題は「走る」


 ――走る。走ること。


 それは、僕のお部屋を走る鉄道模型のゼロ系。……ライトも照らしながら。



 それとも新幹線の歩み? 例えるなら、東の都でのオリンピック開催に活躍したのがゼロ系という、五十五年前のエピソードも含めての歴史を語る? 歴史もマラソンによく似ている。それはまた、人生に通ずるように思える。人生もまた、マラソンに例えることができるから。……丁度そんな時だ。この度のお題は「走る」



 今日もPCを起動する。僕が毎日更新に挑戦し、綴ってきたエッセイも一先ずお休みすることに決めた。それはひとえに、KACに、梨花りかと一緒に挑戦したいから。


 計十回のお題を、受けきる決心をしたから。


 だから走る……


 早朝の朝靄あさもやの中を。今はまだ冬と春の間で、早朝はまだ夜の情景が残る……変化の激しい刻。変動する社会情勢にも似たそんな様……だけど、その先には何がある?



 ――僕は、僕と縁する人たち皆と、笑顔になりたい。


 そんな日々を迎えるために、エッセイとともに走る。……今一緒に、横に並んで走ってくれている梨花が教えてくれたから。梨花はエッセイを通して、僕を笑顔にした。


 だから僕も……


 僕も梨花のように、皆を笑顔にしてあげたい。

 僕だけじゃなくて、皆と一緒に笑い合いたい。


 いじめが消えてなくなる暁……

 そんな日を創れるようにと、願いを込めて僕は走る。夜から朝へと変わるこの道程も。


 そして、この道程で出会えた双子のお兄様たちや、優しいお姉様たち、大切な人達の温かい応援が励みとなって、このエッセイの道程も走る。何処までも、何処までも――


 夜明けの道を走る。明星へ向けての。

 朝焼けも眩くキラキラと。朝靄がシャンデリアのような煌めきに。


 冷たい空気。息も白いけれど、

 身体はポカポカ……ハート燃ゆるから。赤く熱すれば叩く。鉄を叩くように、丈夫で折れない刀になるようにと……その心は、折れないハート。逞しき心。生命の力。


 気付けば、雄叫びにも似たり。

 燃ゆる言葉は、紅の朝焼けにも似たり。


 頬は紅潮し、キラキラ光る汗。……今の梨花。きっと僕も同じだ。


 半袖の短パンも汗まみれだけれど、身も心も小春日和。とても冬の情景とは思えないような世界観で、そのあとの朝シャンは格別。とても気持ちがいいの。


 それは風との対話。風と一体感になった証拠。


 この爽快感を味わいたいから、


 僕はこのテーマとともに、ジョギングを、にわかだけど続けている。この度は梨花も道連れ……ではなくて一緒にね、あくまで仲良く走っているから。無理は言ってないから。


 でもでも、

 窺うの、梨花の顔色……その表情を。


「……なるほどね、

 千佳ちかの気持ち、ちょっぴりわかった」


 息を整えつつも、その途上で言ったその台詞。ドキッとする内容……やっぱり無理強いしちゃったかな? ……ああ、強引だったかも。そう思いかけると、


「気持ちいいね。とっても。またやろうね、千佳」

 と、喜んでくれた。無理強いではなくて、紛れもなく梨花自身の台詞。


「うん!」


 僕は、僕は元気よく返事。パッと咲いた梨花のスマイルが、とっても嬉しかった。


 この笑顔があれば、僕も心から笑顔になれる。心に咲く笑顔の花。


 走れば走るほど……

 桜並木のように、白い微笑み広がって、

 春のキャンバスに、様々な笑顔の色を描くだろう。


 まるでレインボーブリッジのような、笑顔で飾る色彩を。


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走ること。そして千佳は思う、梨花と一緒に。 大創 淳 @jun-0824

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